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プレスリリース 2014年

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電力線通信(PLC)によるリアルタイムメガソーラー監視システムの実用化に成功

2014年3月12日
住友電気工業株式会社

当社は、メガソーラーで使われる600V~1kV以上の直流高電圧電力ケーブルを、そのまま通信媒体として活用する電力線通信(PLC)技術を用いた、メガソーラー監視システムの実用化に成功しました。今後2014年7月から販売を開始する予定です。

1. 開発の背景と開発成果概要

近年、メガソーラーの建設が進む中、大量に導入されるソーラーパネルの初期の設置不良、長期劣化や故障が発生すると発電電力が低下し、売電量が低減してしまいます。現状のメガソーラーは、数万枚~数十万枚の多数のパネルから構成されているため、どのパネルが劣化しているかを総発電量の低下から検知することは困難です。このため、パネルの発電量を正確にリアルタイム監視ができ、かつ装置の取り付けが手軽にできる安価な監視システムが求められています。

このたび当社は、通常のメガソーラーで使われる600V~1kV以上の直流高電圧電力ケーブルをそのまま通信媒体として活用するとともに、メガソーラー特有の大容量パワーコンディショナー(パワコン)が発生する大きなノイズ環境でも問題なく正確に情報伝達できる独自方式の電力線通信(PLC (Power Line Communication*1)、10kHz~450kHzの周波数帯を利用)技術を開発し、それを活用したメガソーラー監視システムの実用化に成功しました。

PLC技術の基本原理自体は既に公知であり、いわゆる情報通信技術の分野でも使われているものですが、メガソーラー発電システムのように高い直流電圧や大きな電力ノイズ環境下では実用化されておらず、当社が今般初めて実用化に成功したものです。

なお、本システムの実証にあたって、株式会社ユアテック殿のご協力を頂きました。

2. 技術内容

今般開発に成功した監視システムでは、メガソーラーの構成単位である14~18枚直列の発電パネル群(以下ストリングと呼ぶ)ごとに発電電力を正確かつリアルタイムに計測し、電力ケーブルそのものを通信媒体として、その情報をモニター装置(通常はパソコン)に転送し、専用ソフトによって発電異常の有無を判断します (図1、写真1)。

通常のメガソーラーには、各ストリングからの電力を集約する接続箱が設置されています。本監視システムは、図1に示すように、この既設接続箱内部に設置される電流センサと、当該センサ情報を電力ケーブルに重畳させて情報伝達するPLC子機および子機からの情報を集約する親機で構成されます。このため、専用の通信ケーブルあるいは無線通信設備等は一切不要です。

1台の子機は、最大16ストリングまで発電情報を集めることができ、親機は、メガソーラーの発電規模に応じて必要な数の子機を連係することができます。

監視システムの構成例PLC端末装置の既設接続箱内への設置状況
3. 特長
  1. ①通信のための新規配線不要

    既に利用されている同種のストリング監視システムでは、情報の伝送に専用通信線(RS485 *2)を使用しており、電力ケーブルとは別に通信線を布設する必要があります。また、接続箱に設置される端末装置は、別途AC電源が必要なものが多く、AC電源線の布設も必要となります。当社は、接続箱内にPLCを活用した子機を設置し、ストリングごとに計測した電流やソーラーの電圧情報を、ソーラーが発電した電気を送る既存の電源線を使い、PLCで親の監視装置まで伝送するため、新規の信号線が不要で、子機の動作に必要な電力もソーラーの電源線から取れるため、AC電源線も不要です。

  2. ②新設だけでなく、既設のメガソーラーにも適用可能

    電流センサとして、従来用いられる貫通型だけでなく、クランプ型電流センサにも対応しているため、既設のメガソーラー設備(例えば接続箱の結線等)を変更することなく、後付け的にセンサや子機、親機を設置することが容易です。

  3. ③ノイズや雷サージに強い

    当社が長年培ってきたPLCの経験に基づき、電源ノイズに対して高い通信性能を有しているとともに、雷サージなどから機器を守る対策も十分に施しており、信頼性の高いシステムです。

  4. ④他方式に比べて低コスト化が可能

    PLCを活用することで、新たな通信線の布設が不要であり、動作電源もソーラーの電力線から取るため専用のAC電源線の布設も不要です。装置自身もコンパクトなため、既存の接続箱の中に収めることができ、外置きの別収納箱も不要で、設置も容易にできます。子機の外形寸法は、長さ160mm、幅130mm、高さ50mmで重さも500gと接続箱内に設置できるよう小型化しました。また、親機は、取り付け場所や方法に依存しますが、さらに小型化が可能です。さらに、既設及び新設を問わず、装置を簡単に設置することができるため設置費用も低減できます。このような特長により安価なシステムの構築が可能です。

  1. *1 PLC(Power Line Communication:電力線通信):

    既存の電力線を通信回線として利用する技術で、新たに通信線を布設することなく、データ伝送が行える技術(図2に原理を示す)。

  2. *2 RS485通信:

    2線の専用線を使い各機器間のデータ伝送を行う規格

図2  PLC伝送の原理

以上

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