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広報誌 SEI WORLD 2013年

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SEI WORLD 2013年 11月号(vol. 434)

室温で動作する溶融塩電解液電池を開発

  当社は、20℃から90℃という室温を含む広い温度領域で動作し、サイクル寿命を大幅に改善した溶融塩電解液電池の開発に成功しました。

  溶融塩電解液電池は、電解液に溶融塩(イオン液体とも呼ばれる)のみを使用した二次電池であり、資源量が豊富であり比較的高いエネルギー密度が期待できるナトリウム酸化物を正極活物質に、難燃性である溶融塩を電解液に用いています。

  当社は、2011年に、国立大学法人京都大学(エネルギー科学研究科 萩原研究室)と共同で、動作温度領域が57℃~190℃と広い溶融塩電解液電池の開発に成功して以来、2015年の製品化に向けて、より低温で動作可能な溶融塩の探索や電池の改良に取り組んできました。

 

今回開発した溶融塩電解液電池の特長

1)広い動作温度領域

  動作温度領域が20℃~90℃と、一般的なリチウムイオン電池や鉛電池と比べて高温域で広く、排熱のためのスペースが不要なため、組電池とした場合、小型化が可能です。また、電池は冷却の必要がなく、電池システムとしてのエネルギー効率が優れると期待されます。さらに、溶融塩を含む電池材料が難燃性のため、火災や機器異常の際の安全性に優れています。

2)優れたサイクル寿命

  採用した溶融塩は化学的に非常に安定であり、電池の動作電圧の範囲で分解反応が起こらないため、満充電、完全放電を繰り返すような過酷な条件下で使用した場合でも、優れたサイクル寿命特性を示します。

3)優れたフロート充電特性

  一般的なリチウムイオン電池と比べて、フロート充電における使用時においても優れた寿命特性を示します。また充電状態で保管した場合、一般的な電池では自己放電により容量が徐々に低下しますが、今回開発した電池は自己放電をほとんど示さず、優れた保存特性を示します。

 
■主な二次電池との比較
  溶融塩電解液電池 リチウムイオン電池 鉛電池
エネルギー密度
動作温度領域 20~90℃ -5~40℃ 0~40℃
安全性
サイクル用途
フロート特性
〈バックアップ用途〉
 

エレクトロニクス・材料研究所

 
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