2008年01月28日 09:42 倉敷にて


 ちょっと前ですが、倉敷にプライベートで行く機会がありました。
 自宅から比較的近いということもあり、センチメンタルジャーニーと書くほど大げさではありませんが、25年ぶりに訪問した倉敷という街は昔のままで殆ど変わっていませんでした。記憶の断片から紡ぎ出される強い親近感を感じてしまいます。


 今回、家内と二人でアイビースクエア等々、倉敷美観地区のそぞろ歩きを楽しみましたが、倉敷川に沿って、白壁やなまこ壁の屋敷や蔵を見ていると、月並みな表現ですが、江戸時代にタイムスリップしたかのような気分になってしまいます。こういう古い町並みを保存するために懸命に努力されている関係者の方々には頭が下がります。


ロダン「カレーの市民―ジャン=ダール」(写真提供:大原美術館) さて、倉敷でわたしが是非とも訪問したかったのは、「大原美術館」です。
1930年に開館した日本最古の西洋美術の美術館ということですが、その名に冠するように希代の実業家大原孫三郎(現クラボウ第二代社長)により設立された美術館であります。
 門をくぐると本館正面右手のロダンの「カレーの市民」にまず圧倒されます。


 続いて入室すると、エル・グレコの代表作とも言える「受胎告知」はあまりにも有名ですが、セザンヌやモネ、ルノワールといった印象派、以降のゴーギャンやマティスひいてはポロックといった現代画家に至るまで、画家で親友の児島虎次郎に命じて、確かな見識のもとに集めた素晴らしい作品を中心に展示されています。


 一つ一つの絵をゆっくりと鑑賞しながら廻っていると、大原翁の圧倒するような強い精神力が伝わってくるようであり、「儂の眼には十年先が見える」と豪語されつつも、奉仕の精神のもとに社員を家族のように愛し、この美術館を始め様々な文化事業、社会貢献活動に精力的に取り組まれた実業家の心意気に触れることができたようにも思いました。


 ちなみに、美術館で疲れた足には、隣接するカフェ「エル・グレコ」のケーキとコーヒーで一息入れるのも良いかも知れませんね。


 CSR、フィランソロピー、メセナ等々企業の社会との関係を示す言葉は数多く、あちらこちらで訳知り顔に解説されていますが、実際にこれほどの社会貢献がなされている都市は、世界でも多くはないでしょう。
 ここ倉敷の街には、口先だけでない本物の社会貢献の心がそこここに息づいています。

2008年01月24日 09:59 新年賀詞交歓会での紹介パネル


 賀詞交歓会では、皆様にお集まり頂いた機会にということで、当社グループのトピックスを示す写真のパネルを掲示致しました。

 折角ですからご紹介しておきます。


超電導モータ&10GSFP+光トランシーバ

110周年事業 新研究拠点「WinD Lab」(ウィンド ラボ) 「テクニカル・トレーニング・センター」

110周年を記念して作成した当社の広告

2008年01月21日 13:53 賀詞交歓会の挨拶から


 年始にいろいろなところで挨拶をする機会がありました。
 その場その場の状況、雰囲気にふさわしい挨拶をしようと心掛けていますが、なかなか難しいものではあります。
 その時に、話題にしたことを3点ほどご紹介致しましょう。


・昨年の漢字
賀詞交歓会の模様 昨年を振り返ってみますと、1年を漢字一文字で表すと「偽」だそうであります。
 清水寺(きよみずでら)の森貫主が大きく揮毫した報道をご覧になった方も多いと思いますが、2007年にふさわしい漢字として、圧倒的多数の投票があったそうです。
 食肉、菓子、建材等々様々な業界での偽装や改竄(かいざん)が相次ぎ、安倍政権の崩壊を始めとする政治不信も含めた国民の不安の象徴である漢字でありました。
 しかし、評論家的立場から少し考えますと、古今東西、人の為すことは、偽が多しであり、マキャベリ的に2007年を振り返りますと格別に悪い年でもなかったのではないかと思います。
 つまり、住友400年で培われた住友事業精神、「万事入精」「信用確実」「不趨浮利」からしますと、とんでもない輩が百鬼夜行し、厚顔無恥にも跋扈しているということになりますが、「偽り」が表面に出て、それを大半の日本人が断罪したということで、逆に少しはほっとしてもいいのではないでしょうか。
 但し、一般的、宗教的には質の悪い年であったと断じてもいいと思います。


・安岡陽明学による十干十二支
 碩学、故安岡正篤が陽明学から捉えた十干十二支について、少し説明させて頂きますと、2007年は丁亥(テイガイ、ひのと・い)となり、これは「日新と核心革正の年」と表すことができると去年申し上げました。
 さて、「戊子」(ボシ、つちのえ・ね)の本年は、しげる、ふえると意味が二つ重なっており、万事万物が繁栄し発展していく年と解釈するのが順当ですが、そのどちらにも「繁栄しすぎることにより難しい問題が発生する」という意味を内包することを、重要視すべき年と考える必要があります。
 本年は「繁栄と果決果断実行の年」と言い表すことができると思いますが、繁栄と発展の過程の中に破綻を招く兆しを見抜き、素早くそして私心なく、対策を果決・果断し、実行していくことが経営にとって必要な年であります。
(本項目では、安岡正篤「干支新語」、及び関西師友協会の資料を参考にさせて頂きました。)
 

・本年の状況と当社グループ
 迎えました2008年は、引き続き中国やインドを中心に、世界的には拡大基調が継続するものと期待されますが、米国市場の落ち込み、原材料価格の高騰や国内建築着工の減少など不安要因は数多く、わが国経済の先行きは予断を許さない状況にあります。
 本年は、中期経営計画「12 VISION」が本格的にスタートし、当社グループのあるべき姿「Glorious Excellent Company」の実現に向けて重要な第二段階に入った年と位置付けております。
 戦略性の強化を掲げる「12 VISION」では、2012年度に連結売上高3兆円、連結営業利益2,100億円、ROE10%の実現を目標としておりますが、その達成に向けて、本年もグループの総力を挙げて既存事業のさらなる効率化、競争力強化を図るとともに、将来の成長を担保する新規事業の創出、育成にも積極的に取り組んでまいります。
 また、新たな研究開発の拠点として「WinD Lab」(ウィンド ラボ)を大阪製作所に建設するとともに、当社グループのモノづくり教育の中心となる「テクニカル・トレーニング・センター」を伊丹製作所内に設置するなど、今後もお客様のご要望の実現に向けた事業基盤の強化に努めてまいります。

2008年01月17日 09:23 年頭方針の要望事項


 既に公表していますが、2008年度から、当社グループは「12 VISION」という新たな中期計画の実現に向けて、様々な施策を実行していくことになります。
 そのために、本年、特に注力して頂きたいことをもう少し具体的に、3つの内容として要望を致しました。


 既に、本年のプレスリリースの第一号として、その内容は簡略化してオープンにしていますし、社報等でも詳細に述べました。
 初出の日には、録音したものとはいえ、多くの方がわたしの肉声で内容を聞いてもらったはずです。
しかしながら、この方針、特に3点の社員向けの要望事項は、あらゆる機会を使って、社員皆さんにそして、当社グループに関係する皆さまに見て頂きたいと思っており、この場でもしつこいようですが、もう一度確認の意味で掲載しておきます。


【1】SEQCDD活動の活性化
 第一は、『SEQCDD活動の活性化を行う』ということです。
「SEQCDD」とは、安全(Safety)・環境(Environment)・品質(Quality)・コスト(Cost)・物流(Delivery)・研究開発(R&D)の頭文字をとったものですが、現在、それぞれについて、当社グループ横断的なものから職場毎など、様々なフェーズで活動に取り組んで頂いており、その成果も着実に現れています。
 しかしながら、こうした活動は、しばしば時間の経過や状況の変化により、マンネリ化し、当初想定した成果・目的が曖昧になるなど形骸化しがちであり、本年は今一度その活動の原点に遡って活性化を心掛けるようお願いします。
 また、活動を進めるにあたり、あらためて出口と時間軸の明確化を肝に銘じ、すなわち、目標・目的を明確にし、様々な障害や問題点に対する周到な準備を行い、達成までのスケジュールを念頭に置いて、取り組むようお願いします。
 当初の危機意識や改善意欲を保持し、活動の実効があがるよう創意工夫を凝らし、各人においては目標達成への強い意欲をもって、それぞれの活動の活性化に取り組んで頂きたいと思います。


【2】緊張感の維持
 次にお願いしたいことは、『緊張感を維持する』ということです。
 住友事業精神の源流である、住友家初代 政友が残した「文殊院旨意書」の冒頭に由来する言葉で、「萬事入精」という言葉があります。これは、人生すべての事柄において緊張感をもって誠心誠意ベストを尽くす人であれと、理想の人間像について書き表した言葉です。
 人生萬事に亘って緊張感とまでは、さすがに言えませんが、職場において適度な緊張感を維持することは、業務品質を高めることは勿論、業務に対する充実感や達成感を得られるものです。他社の世評の高い職場には、必ずピンと張りつめた空気が漂っており、是非、そういった凛とした緊張感のある職場環境づくりをお願いします。
 特に、長年にわたり全員参加の安全・品質向上活動を継続していますが、最後のよりどころは、一人ひとりの業務に対する緊張感ある心構えであり、他のどんな対策よりも、効果的であることを全員が心に刻んで欲しいと思います。
 安逸に妥協することなく常に問題意識を持ち、緊張感を意識して、基本の修得と愚直な実行により、日々の業務にあたるようお願いします。


【3】思いやりの精神を育む
 3点目にお願いしたいことは、『思いやりの精神を育む』ということです。
 「仁」、「愛」、「Compassion」といった言葉は、意味するところは同じであり、グローバルに事業を展開する企業にとっては、普遍的に育むべき思いやりの精神です。
 「Glorious Excellent Company」の構築という大きな目標のもと、「12 VISION」の達成に向けて、現在それぞれの組織でベクトルの共有化を図り、戦略性の強化を含め種々具体策の実現に邁進頂いています。
 当社グループは、従業員13万人超、400を超える関係会社から構成される巨大な企業体となりました。このような大集団が大いなる目標を掲げ、積極果敢な行動を起こすとき、往々にして組織内で過酷で厳しい遣り取りがなされ、ぎすぎすした、かつ、時には独善的な雰囲気が蔓延します。
 こうした事態を避けるため、各人が思いやりの精神を常に念頭に置き、相手の立場や主張を十分に理解し、建設的な意見を交わし、全体最適の対応をすることが組織に潤いとやる気をもたらし、目標達成への近道となると信じています。
 緊張感と思いやりは、決して相反するものではありません。敢えて言うならば、頭には「緊張感」、そして心には「思いやり」を持って業務に精励してください。

2008年01月11日 09:05 ゴルフより勉強か?


 先日(7日付)の日刊工業新聞に、わたしがインタビューを受けたときのこぼれ話が掲載されておりました。
 「ゴルフより勉強」という見出しが掲載されておりますが、本当は両者の二者択一ということが言いたかったわけではありません。
 とは言え、書かれていることは、わたしが喋ったそのままであり、勉強しない経営者に対して、少なからず警鐘を鳴らしたつもりではあります。


 トップになればなるほど、余裕時間は少なくなります。わたしも往々にして分刻みのスケジュールに追われています。
 それでも、経営に携わる立場では、最良のそして最新の情報を我がものにしておくことが必要であり、ある種の研鑽に当てる時間を持つことが大切です。
 この年末年始のようにまとまって時間がとれるときはよいのですが、通常の日程ですと、早朝や深夜に時間をとることをしない限りは、週末が頼りです。


北海道旅行の話の時に書きましたように、わたしはゴルフはやりますし、特に気のおけない友人とわいわい騒いで行うゴルフは大好きです。
 土日両日ともゴルフという週は勿論ありますし、ひどい時は場所を大きく離れて連日ということもあります。


 しかしながら、そういうスケジュールに甘えることは禁物と肝に銘じており、古典に親しんだり、好きな絵画鑑賞を楽しんだり、語学の習得に力を入れたりするような知的活動の時間をできる限り持ちたいと思っています。


 欧米の経営者は、多様な方面に関心を示し、時間を自己啓発に当てていると話したのは本当のことです。日本の経営者も、今後は世界単一市場即ちグローバリゼーションの流れの中で欧米の経営者と互角にお付き合いできる能力を養う努力を続けていかなければいけません。それこそ世界から取り残されてしまうことにならないようにと新年早々自戒しています。

住友電気工業(株)社長 松本正義

1944年生まれ、兵庫県出身。
1967年住友電工入社。中部支社長、常務取締役、専務取締役を経て2004年6月社長就任。
趣味はジョギング、読書、絵画鑑賞など。中学時代は野球、高校では柔道、大学では陸上競技のやり投げ選手としてインターカレッジ出場経験もある。

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