2009年09月28日 08:53 IWCC総会に出席して(2)


 帰国日(18日)は、午前中、時間が空きましたので朝食もそこそこに、歴史のある花の都フローレンスの観光に出かけました。


アルノ川にかかるヴェッキオ橋にて サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂をはじめとする数々の歴史的建造物も名残惜しいですが、途中にヴェッキオ橋を経由して目指すはウフィツィ美術館。メディチ家の援助を受けて15世紀から16世紀に花開いたルネサンスを美の側面から勉強することにしました。


 とても1時間では全部回りきれないので、前もってボッティチェリの「ヴィーナス誕生」「春」、レオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」、ラファエロの「ヒワの聖母」、ティツアーノの「ウルビーノのヴィーナス」等、重要作品に的を絞りました。いつもながら古典的な日本人観光客の鑑賞手法でこなしてきました。
 キリスト教の奥深い教義と西洋文化の幅広い知識がなければ、これら美の巨人が大作に込めた信念、知恵、工夫を十分に理解できないと思います。予習をし、又、時間を掛けて鑑賞するのが美の巨人達に対して最大の敬意を払うことになると思いますが、今回も気持ちだけにさせていただきました。


ウフィツィ美術館の隣、シニョリーア広場に面したヴェッキオ宮殿前のネプチューンの噴水を背に

2009年09月25日 15:08 IWCC総会に出席して(1)


日本からの出席メンバー、右から2人目が私 去る9月16日、17日の二日間に亘り、イタリアのフローレンス(フィレンツェ)で開催されたIWCC(国際銅加工業者協議会)の2009年度総会に出席し、旧知のメンバーと世界経済の今後と銅加工業界のあるべき姿を中心に忌憚のない意見交換をして参りました。各国の代表が興味あるプレゼンテーションを行い質疑応答もそれなりに時勢を反映した内容でとても勉強になりました。


 各国・地域の経済、需要動向については、「昨年後半からの経済危機による最悪期は脱し回復しつつあるものの、その足取りは確かなものではない」という見方が、欧米をはじめほとんどの国・地域に共通しているように感じました。


日会議終了後のパーティ、前列左から2人目が私 また、いつものことながら、銅価の急激な変動が加工業者に与える影響の大きさにメンバーから異口同音に根本解決がないものかと苦悩の表現が多くありました。投機対象となったコモディティへの対応には代替品の開発が有効な対策のひとつであると。世界の銅消費量の60%を占める電線業界に限ってみれば光ファイバーが通信ケーブルの材料として銅を代替しているように、電力ケーブル分野では高温超電導材料、カーボンナノチューブ等の材料開発を鋭意進め最終ユーザーに安定した価格で、より性能の良い製品を供給できる体制を確立する必要があるとの意見もあり、意を強くした次第です。


 来年の総会は、中国、上海で開催される予定です。次回は、今年よりも明るい話が聞けることを楽しみにしています。

2009年09月24日 15:17 リーマンショックから1年


 あのリーマンショックから1年が経ちました。日本経済は10%以上のマイナスに落ち込んだGDP成長率も4~6月期は2.3%に回復、また、日経平均株価も最安値の7054円から1万円台に回復しています。しかし、実態はまだまだ安心できる状況にはなく二番底が心配されています。
 内閣府発表の7月度民間設備投資は、前月比9.3%減、1987年統計開始以来の最低水準、減少傾向に歯止めが掛かりません。失業率も、米9.7%、ユーロ9.5%、日5.7%と歴史的な高水準、潜在失業者を含めると更に悪いとみられています。政府の月例経済報告でも、景気基調判断を2カ月連続で据え置き、「失業率が過去最高水準になる」の表現を加え発表されました。雇用情勢の厳しさを背景に個人消費は低迷し、生産水準も極めて低いままで、日本経済の先行きは不透明感が強まっているとの認識です。
 現状の景気の一服感は、落ち込んだ消費を政府による積極的な財政出動が補う状況。今後の焦点は、これがいつ自律的な回復につながるかどうか、それはみんなが先行きに明るい見通しを持てるかどうかにかかっています。鳩山内閣に期待が集まります。


 少し古い話になりますが、藤沢周平の遺作に米沢藩主・上杉治憲(後の鷹山)の藩政改革を描いた「漆の実のみのる国」という小説があります。鷹山は、相次ぐ減封により15万石に減少するも120万石の家臣6千人を維持、財政破たん寸前に藩主就任。直ちに倹約令を発布し財政支出を半減する一方、新田開発や三木(桑・漆・楮)等の商品作物の植樹、米沢織をはじめとする殖産興業を推進、藩校・興譲館を再興し人材育成と民意復興にも注力し瀕死の米沢藩の改革に着手します。「民の父母」たることを信条に改革を推進し、未来を失いつつあった組織に希望を与え、組織の自律的な成長サイクルを導きだすことに取り組みます。一連の改革は簡単には成功せず、何とか体制を立て直そうという奮闘ぶりが描かれています。
 一国の再生にはさすがに時間を要しますが、私心のない姿に次第に藩の人心も変化し、藩財政は立ち直り、次々代には借債を完済、江戸時代屈指の名君と言われる所以かと思います。ご当地米沢では藩中興の祖と親しまれ、また第26代大統領セオドア・ルーズベルトをはじめ海外からも尊敬を集めます。


 時代も変わり、政治経済も大きく変化していますが、ただ今の日本も、本格的な少子高齢化を迎え、財政赤字比率も先進国で最高、先行きに閉塞感を感じる人が多いと思います。
 そういう時こそ、強いリーダーシップの出現が期待されますが、同時に、一人一人が変化を恐れず自らの力で改革を推進する勇気と覚悟を持ち、知恵を出し合えば必ず明るい未来が築けるものと信じています。
 そのためには、国家百年の計たる遠大な視点と目先の利益に流されない不趨浮利の精神とで、根本から取り組む努力が求められていると感じます。

2009年09月14日 08:51 「今、日本に問われていること」


松本です。
先日、インタビューを受けて、関西経済連合会が発行する「経済人」の9月号に記事が掲載されました。お願いして、当ブログへの転載許可を頂きましたので、是非見て頂きたいと思います。尚、インタビューは関西経済連合会秘書広報部主任岡田真紀さんに務めて頂きました。


関西経済連合会発行「経済人」9月号 談論風発
「今、日本に問われていること」


 日本の各企業はグローバリゼーションを意識した事業展開を行っています。当社も海外での売り上げが全体の約4割を占めています。このような状態が極端に進めば、各社とも本社を日本に置いておく必要性が薄れてきます。私は、当社の本拠地は日本、それも住友の創業以来約400年強恩恵を受けてきた大阪に置き、この地に貢献すべきだと考えていますが、各社の考え方はさまざまです。企業が日本に留まるかどうかは、各経営者の日本に対する思いの強さによるところが大きく、グローバリゼーションが進むと日本の経済地盤がぜい弱になる可能性があるのです。道州制を導入することがぜい弱性を防ぐ一つの政策になると思いますが、付加価値を生む企業が地域を愛し、自らどのように対応していくのかがポイントとなるのではないでしょうか。
 では、今後、日本や日本企業はどのような道を取るべきなのでしょうか。ご存じのとおり、日本には天然資源がほとんどなく、最大の武器は、世界に冠たる技術や製品、そしてそれを生み出す人材です。人材は日本最大の資源ともいわれています。人材の質を保ち、常に活性化するための投資は惜しむことなく続けなければなりません。そうして日本のR&Dや生産技術を強化し、海外の工場に横展開していくことが必要です。このサイクルを永続させるためにも、「政治経済や経営を語る前にまずは人間教育」というのが私の持論です。
 現代の日本は「金がすべて」という拝金主義の時代を経て、反省期に入る一方、格差が広がっています。''歴史は繰り返す''とはよくいったもので、産業革命華やかなりし英国のビクトリア朝は今日の日本よりもひどい状況だったようです。新興産業家は労働者から搾取することで富を築き、労働者は劣悪な条件での労働を強いられていました。当時の思想家で歴史家のトーマス・カーライルはこれを憂慮し、著書『過去と現在』の中で、営利至上主義の弊害を排し、新しい人間愛に基づいた経営を行う経営者像、"captains of industry"を提唱しました。一言で言うなら「経営騎士道」を説いたのです。真のリーダーとは私事がなく、コミュニティーに尽くすものであり、それこそがエリートだと書いています。近年、コミュニティーを重要なステークホルダーととらえ、そこにどう貢献するかを考える経営者が増えてきましたが、すでにあの時代、同じことをカーライルは考えていたのです。さらに、世界はエリートが導くべきだとも述べています。
 昔の日本には江戸時代の藩校や戦前の旧制高等学校、帝国大学など一種のエリート教育のようなものがありました。しかし、''平等であること''に重きを置く今の日本でエリートを育てるのは至難の業です。しかも本来エリートの器でない人間にエリート教育をすると、組織にも本人にも不幸な結果を招いてしまいます。とはいえ、難しいと言ってばかりはいられません。
 歴史がわれわれに教訓として伝えていること、それは世の中が根本から変革していく時代には、困難をブレークスルーする迫力と勇気を備え、人とは違った角度から物事を発想できる「気骨ある異端児」が世界や組織をリードすべきだということなのです。時代が急激に変化している今、組織を正しい方向へ導ける人材を育てなければ、乗り切ることはできません。その器量をもつ人材を見極め、真のリーダーとして育てられるか、これこそが今の日本に問われていることではないでしょうか。

2009年09月10日 11:07 中国からのうれしい贈り物


 先日、ある役員が私の部屋を訪ねてきました。中国出張から帰国、その報告が目的です。見ると、小脇に大きな巻物のようなものを携えています。それは何かと聞いてみると、中国の富通集団有限公司(以下富通)の王建沂董事長からの贈り物、飛行機の中でも手荷物として大事に持って帰ってきたようです。


掛け軸写真 その巻物は、広げると、なんと縦2メートル、横80センチもある立派な掛け軸でした。そこには、力強い見事な達筆で見覚えのある七言絶句が書かれています。昨年10月、富通との合弁契約調印式で披露した自作の漢詩でした。富通の王董事長が、記念にと中国の書家にわざわざ揮毫させたものでした。BIG SURPRISEです。


 早速、家に持ち帰り、妻に見せました。七言絶句の内容はともかくも、掛け軸の出来栄えのすばらしさには妻もよろこんでくれました。残念ながら、我が家には、飾れるような十分なスペースがありません。会社に持ってきて、大切に保管しておこうと思っています。


 光ファイバ関連市場は、リーマンショック後も中国を中心に需要が拡大を続け、昨年、富通との合弁で設立した3つの光ファイバ・ケーブル製造関連会社は順調な滑り出しで、王董事長は、それを祝って掛け軸にしてくれたようです。漢詩の内容は決して良い出来ばえではないと思いますが、事業成功への私の思いを込めて作りました。その気持ちが、うまく伝わったと思うと感激です。人と人とのつながり、友情を大切にする、パートナーの心遣いに心から感謝します。
 早速、お礼状をお送りしました。近い将来、再会し、祝杯を重ねられるよう、気を引き締めて、中国市場でのトップシェアを目指したいと思います。


【関連エントリー】
■中国の古都・杭州と西湖
■富通集団有限公司と光ファイバ、光ケーブル分野での合作事業調印を終えて

住友電気工業(株)社長 松本正義

1944年生まれ、兵庫県出身。
1967年住友電工入社。中部支社長、常務取締役、専務取締役を経て2004年6月社長就任。
趣味はジョギング、読書、絵画鑑賞など。中学時代は野球、高校では柔道、大学では陸上競技のやり投げ選手としてインターカレッジ出場経験もある。

最近のエントリー

最近のコメント

本ブログについて

RSSを登録する

本ブログでは更新情報をXMLを利用したコンテンツ配信フォーマット (RSS) でご提供しています。
RSSリーダーやRSS対応のブラウザにご登録ください。

会社案内動画版
住友電工チャンネル