住友電工の流儀 第五回 柴田 泰行 常務執行役員 社会システム営業本部長 海外電力システム営業部長

インフラを支える矜持を胸に 世界への貢献を目指す電力ケーブル事業

継承されている利他の精神 社会貢献というDNA

インフラを手がけて社会に貢献したいと考え、住友電工に入社しました。配属となったのが大阪の電力営業部。電力会社の担当となり、13年間勤務しましたが、厳しい先輩やお客様から鍛えられ、今に至る自分の礎を築いた時間だったと感じています。お客様の立場に立ってとことん取り組むこと、どんな小さな約束でも必ず守ること、最後までやり遂げることなど、ビジネスの基礎を徹底して叩き込まれました。印象に残っているのは関西空港開港に向けた配電ケーブルネットワークの構築です。大きな裁量を任せられたプロジェクトでした。安全対策のため電力ケーブルはすべて船で運搬せざるを得ず、効率化のため他社との共同配送を試みるなど、商品を提供するだけではなくお客様の業務・経営ニーズに応える必要がありました。今で言うソリューション提案ですね。「お客様のために」 という一心で、東奔西走して成し遂げたプロジェクトでした。

阪神・淡路大震災の復旧対応も記憶に刻まれています。震災直後、お客様には自転車で駆けつけ、陸路が寸断されていた神戸にはチャーター船で渡りました。余震が続く中、電力ケーブル復旧のためにお客様と打ち合わせしたことが忘れられません。被災現場に直面して「何とかしなければ」という想いが自分を突き動かしていたと思います。復旧の象徴として神戸ポートタワーに灯りをともしてほしいという要望を受けてお客様と尽力。また、ポートアイランドにかかる橋の両側に布設された電力ケーブルが切れると全島停電の危険があり、その回避のためにも奔走しました。製造部門のみなさんも、一丸となって頑張ってくれました。震災復旧を通じて、インフラを支える社会的責任の大きさを痛感。当社に継承されている、利他の精神のDNAを実感した取り組みでした。

90℃耐熱を実現した世界初のケーブル 世界の電力ケーブル需要に応える

現在は、主に電力ケーブルの海外市場の開拓に力を注いでいます。需要は多様で、電力インフラが初期段階にあるアフリカなどの国々では架空送電線、ASEAN諸国では島々を結ぶ海底ケーブル、台湾や韓国、日本ではオフショアウィンドファーム(洋上風力発電所)から送電するための海底ケーブルが求められています。さらにヨーロッパで進んでいるのが国家間の電力連系であり、その送電のための電力ケーブルの需要は世界中で高まっています。その中でいかに当社のプレゼンスを高めていけるか――私たちの挑戦が始まっています。

エポックメイキングな取り組みが、イギリス―ベルギーを結ぶ海底ケーブルプロジェクト(NEMO)でした。インドにおいても巨大プロジェクトが進展。北部の水力発電で得られた電力を南部へ送電する取り組みは、地域の生活改善に大きく寄与します。

当社の電力ケーブルが評価されている背景の一つは、その商品力。長距離ケーブルには一般的に直流が採用されていますが、当社直流ケーブルは、優れた材料特性によって、従来の製品と比較して、約20℃高い90℃での連続使用と、極性反転*運転を可能としました。他のケーブルより高温で使用できるため、導体サイズを低減できることから、経済性、環境性などに大きなメリットをもたらす世界初の画期的製品です。
「お客様のニーズをキャッチして製品を開発する」当社の真摯で真面目な対応と技術力への評価は、徐々に世界に浸透しつつあります。長距離電力ケーブルにおいて当社は、世界トップレベルの技術という自負があります。途上国にそれら電力ケーブルを供給することによる現地の生活向上の実現、ヨーロッパの国々の多くが再生可能エネルギーにシフトチェンジする中、それらのインフラ構築支援など、私たちの取り組みは、地球規模の課題解決に直結するものと考えています。

* 運用状況に応じ電圧のプラスとマイナスを入れ替える操作

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住友事業精神の実践 信頼関係が仕事を動かす

当社には、インフラの構築で社会を支えているという矜持(きょうじ)があり、それが底力になっていると思います。東日本大震災の時は、通信ケーブルの営業の責任者でしたが、避難所に電話をつなぐため、全員で通信網の復旧に尽力しました。またこの時、APEC会議場であるロシアのルースキー島に電力ケーブルを納品することが決まっていましたが、出荷を前に工場が大きな被害を受けるなど大混乱の中、「顧客との約束を必ず守る」という住友のスタイルを貫いて期日通りの納品を実現。これにはロシアのお客様から直接感謝の言葉をいただきました。その根底にあるのも、インフラを支える矜持であると思います。

30年以上にわたるビジネスパーソンとしての軌跡を振り返って感じるのは、お客様やフィールドは変わっても、仕事の流儀はまったく変わっていないということ。それは、ビジネスは人と人との関係の上で成り立っており、真摯で誠実な姿勢は相手の心に確実に響くということ。そこ築かれる信頼関係が仕事を前進させる力になるということです。だから、お客様のために、とことん取り組む。それが「萬事入精」「信用確実」といった住友事業精神の実践であり、ひいては社会課題の解決に資することへつながっていると確信しています。

PROFILE

柴田 泰行Yasuyuki Shibata

1986年 住友電気工業株式会社 入社
2006年 通信営業部 西日本通信営業部長
2010年 通信営業部長
2014年 営業企画部長
2015年 執行役員
2018年 現職

昔お世話になったお客様の方々とともに