住友電工の流儀 第八回 呉 華銘 住友電工香港電子線製品有限公司 副総経理 HRビジネスパートナー 鄔 挺之 住友電工電子製品貿易(上海)有限公司 副総経理 移動体営業部門長兼市場開発部長

流儀対談 呉 華銘╳鄔 挺之 強いチームワークこそが成功を呼ぶ原動力 中国の新たな市場開拓事例に学ぶ営業の流儀

住友電工グループは、5年に1度「グローバル表彰世界大会」を実施している。今回、住友電工電子製品貿易(上海)有限公司の鄔挺之(以下、トニー)と、住友電工香港電子線製品有限公司の呉華銘(以下、ミン)の二人が、「中国発のドローン最大手メーカーの製品に当社製品が採用された」ことに貢献したチームの代表として大会最高位である「GE(Glorious Excellent)賞*」を受賞した。二人が販路拡大に成功した製品は「極細同軸ハーネス」。ドローンは現在、中国のDJI様(以下、敬称略)が世界市場を席巻しており、シェア率は90%を超えるとも言われている。DJIに対しどのようなアプローチを試み、「極細同軸ハーネス」の採用を成功させたのか。その背景には、二人のマーケティングに対する新たな視点と取り組み、そして彼らなりの流儀があった。

* GE賞とは、事業活動において顕著な功績を残した社内チームに贈られる賞

携帯電話からスマートフォンへ 時代のニーズが変化する中で

ミン私は香港の大学を卒業後、住友電工グループの代理店を経て、2000年に住友電工香港電子線製品有限公司に就職しました。最大の携帯電話顧客に向けて各種エレクトロニクス関連製品の拡販を担当。東京、上海、北京、ドイツ、フィンランド、米国へ、グローバルセールスネットワークの構築に奔走しました。その後、米国最大のスマートフォンメーカーと中国の地元企業を含む新たな市場開拓を進めていく中で、トニーさんとの出会いがありました。

トニーええ、そうでした。私は日本の大学に留学後、帰国。日系メーカーや商社を経て、中国の販社に勤務している頃、ミンさんと知り合いました。当時は、携帯電話の需要が爆発的に伸びている時期で、私が当時扱っていたヒンジ(蝶番)とミンさんが扱っていたハーネスは、折りたたみ式の携帯電話での需要が急増、二人で組んで拡販を進めました。そんなときミンさんから、住友電工グループへの転職を勧められたのです。当時、住友電工(蘇州)電子線製品有限公司の宮田康弘副総経理(現在エレクトロニクス営業本部長)と面接して採用は決まったのですが、いろいろ考えるところもあり、半年の時間が流れてしまいました。改めて連絡をしたところ「半年前の約束は何も変わっていない」との本部長の言葉に人への信頼を感じ入社を決めました。後に知ることになる、住友事業精神を感じましたね。

ミントニーさんが入社した頃から、エレクトロニクスのマーケットは大きく変わっていきましたね。私たちがかつて対象としていた携帯電話に代わってスマートフォンが登場し、折りたたむという屈曲性に対応するCBA(Cable Assembly)などの製品は終息、FPC(フレキシブルプリント基板)のニーズが高まっていった時期でした。

呉 華銘
呉華銘(ミン)
鄔 挺之
鄔挺之(トニー)

中華圏エレクトロニクス営業の再編 マーケティングという新たなミッション

トニー私たち営業担当にとって最大の転機が、中華圏で2013年にエレクトロニクス製品の営業体制が再編されたことです。それまで各製品生産拠点それぞれに営業部門がありましたが、上海に営業統合拠点を置き、各エリアに支店を設けるという体制に変わりました。つまり、住友電工のエレクトロニクス製品を横断的に販売することとなりました。さらに、私たちの仕事に大きなインパクトを与えたのが、新規市場開拓をミッションとする新たな部署が設けられアサインされたことでした。どの製品をどこに売るのか、まったく白紙の状態であり、何から着手すべきか模索の日々が続きましたね。

ミン私にとって心強かったのは、当時トニーさんが深圳勤務で、私の香港事務所と近距離だったこと。二人でタッグを組めば何かできるという予感はありました。かつて、二人で別の案件で「GE賞」を受賞したこともありましたから*。

トニーただそれまでは、既に決定されたスペックの製品をお客様の需要に合わせて納入することやそれをフォローすることが営業の役割であり、いわば売れることはわかっている世界。だから今後生き残り続けることができるか、といった緊張感や危機感はあまりありませんでした。しかし市場開発部の創設で状況は一変したわけですよね。成果が出なければ後がない。文字通り、背水の陣という感じでしたね。

ミン当時私は、住友電工グループで開発されたマグネシウム合金の新たな分野開拓を進めていました。主にPCなどのハウジング材料として採用されていたマグネシウム合金ですが、他の分野での採用を模索していました。そして、有望な成長分野(製品)として着目したのが、DJIのドローン。当時DJIは、「ファントム」シリーズが世界的に大ヒットし、深圳発メーカーの代表格ともいうべき企業に成長しつつありました。このドローンのハウジングにマグネシウム合金採用を働きかけることが、DJIとの最初の接点でしたね。ただ周囲は、ドローンに対してあまり興味を示さない雰囲気で、トニーさんと、もう一人のジュリア(刘 微)さんの三人だけで動き出した感じでしたね。

* 2008年にFPC拡販チームとして、欧州企業よりエレクトロニクス製品が採用されたことでGE賞を受賞