5G時代を支える電子デバイス。挑戦の軌跡と展望。

5G時代を支える電子デバイス。挑戦の軌跡と展望。

社会を、生活を変える5G時代の到来

移動体通信は飛躍的な進化を遂げてきた。1979年に自動車電話、1980年代半ばに携帯電話が登場。1990年代前半にはメールやインターネットの利用が可能となり、2007年のスマートフォンの登場で、爆発的に普及した。それを牽引してきたのが無線で通信をするためのアクセス技術だ。

これまで第1世代(1G)から第4世代(4G)まで世代を追って方式が変わり、携帯電話の性能向上に大きく貢献してきた。そしてここへきて登場したのが、4Gの100倍といわれる超高速通信を実現する第5世代=5G(5th Generation)である。これまでの移動体通信の枠を超えた新たなサービスプラットフォームを提供、社会・生活を支える幅広い活用方法が想定されている。5Gでは、高速大容量、低遅延性、同時接続性が特長である。高速大容量では、高精細な動画のライブ配信やオンラインでの在宅医療が可能となる。低遅延性は、IoTや自動車を含むさまざまなモノとの通信を劇的に変える。たとえば時速60kmの車両が遠隔でブレーキをかけた場合、4Gの空走距離約1.7mに対して5Gはわずか数cmだ。同時接続性では4Gの数十倍の同時接続が可能となる。5G商用サービスは、2019年に米国、韓国、英国など世界19ヵ国でスタート。日本では2020年春からのスタートが予定されており、文字通り5G元年となる。

住友電工グループは2005年に極めて高い性能を有したトランジスタ「GaN HEMT(ガン・ヘムト)」を世界に先駆けて市場に投入。5G時代の到来と共に、この存在はいやがうえにも高まりを見せており、5G時代を支える電子デバイスとして世界から熱い視線が注がれている。今回は、「GaN HEMT」誕生に向けた挑戦の軌跡を追うと共に、5Gの先をも見据えた今後の展望を探る。

5G時代を支える電子デバイス。挑戦の軌跡と展望。

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