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プレスリリース 2012年

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アルミセルメットを用いた電気二重層キャパシタを共同開発

~HEV、EVなど自動車分野への市場投入を目指す~

2012年3月29日
株式会社明電舎
住友電気工業株式会社

 株式会社明電舎(取締役社長 稲村純三/以下、明電舎)と住友電気工業株式会社(社長 松本正義/以下、住友電工)は、住友電工のアルミニウム多孔体「アルミセルメット」※1を電極材料として使用する電気二重層キャパシタを共同開発します。EV、HEVなど自動車分野を主な市場として、2015年度の製品化を目指します。

 明電舎は、2006年に高電圧・大電流用途向けバイポーラ積層構造の電気二重層キャパシタを製品化しました。積層構造の採用により、薄型でスペース効率が高く、また繰り返しサイクル寿命が蓄電器よりも長いという特長を活かし、主に電力安定供給のための瞬時電圧低下補償装置や電鉄向け電力回生貯蔵装置などインフラ向けの装置を中心に事業を展開してきました。その一方で、電気二重層キャパシタをより広範な分野に適用すべく、性能向上のためのデバイスの開発や用途開発を積極的に進めてきました。

 

 住友電工の「セルメット」※2はニッケルやニッケルクロム合金の金属多孔体です。大きな気孔率(最大98%)を有する特長があり、電池に使用する活物質の充填性・保持性、集電性が良いことから、最近ではハイブリッド自動車用ニッケル水素電池の正極集電体にも採用されています。

「アルミセルメット」は、大きな気孔率という特長に加え、比重がニッケルの約1/3と軽量で、電気抵抗率もニッケルの半分以下で高い導電性を有します。また、耐食性にも優れ、リチウムイオン二次電池など充放電電圧の高い二次電池や、キャパシタの集電体にも適用が可能です。

 

 明電舎と住友電工は、アルミセルメットの特長を活かした電気二重層キャパシタの共同研究に2011年から取り組んできました。このほど、集電体にアルミセルメット、活物質にカーボンナノチューブ※3、電解液に不燃性のイオン液体※4を適用することで、アルミ箔、活性炭、有機電解液を用いた従来の電気二重層キャパシタと比較し、体積エネルギー密度※5は約3.4倍、かつ広い温度範囲での作動および高い出力密度※6を実現しました。※7

 両社は、体積エネルギー密度を約5倍まで高めることを目標に今後も共同研究を継続します。
HEV、EVの加速時の動力アシストや減速時の電力回生など自動車分野を主たる市場と位置づけ、2013年度のサンプル出荷、2015年度の製品化を目指します。

以上

※1

アルミセルメットは住友電気工業株式会社の商標です。

 

※2

セルメットは住友電気工業株式会社の登録商標です。

 

※3

カーボンナノチューブ:

炭素原子のみからなる直径が0.4~50nm程度のグラファイト層を丸めて筒状になった物質です。層の数が1層のものを単層カーボンナノチューブ、多層のものを多層カーボンナノチューブと呼びます。

 

※4

イオン液体:

陽イオンと陰イオンのみからなる電解質で、常温常圧下で液体状態をとる物質です。一般にイオン液体は蒸気圧が低く、難燃または不燃性を示すことから、電気二重層キャパシタをはじめとする電気化学デバイスの電解液に使用されています。

 

※5

体積エネルギー密度:

体積当たりどのくらいエネルギーを取り出せるかを表す単位。高いほど多くの電気を蓄えることができます。

 

※6

出力密度:

質量当たり電力出力量を表す単位。高いほど瞬時に出せる電力が大きくなります。

 

※7

従来の明電舎製積層型電気二重層キャパシタとの比較です。

 

 


 
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