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プレスリリース 2012年

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錠剤コート表面検査技術および有機高分子材料検査技術を関西学院大学と共同開発

-10月9日~11日 世界最大規模製薬業界向け展示会「P-mec Europe」に出展-

2012年9月25日
住友電気工業株式会社

 住友電気工業株式会社は、高速・広帯域・エリア計測を特徴とする近赤外イメージングシステム「Compovision」による、錠剤コート表面検査技術および有機高分子材料検査技術を関西学院大学と共同開発しました。

 「Compovision」は、当社の化合半導体および光通信技術を駆使して開発した近赤外カメラ*1を活用したイメージング装置です。2010年8月に発売以来、ブリスタ-パック工程*2での異種錠剤混入検査や、食品の品質検査等での活用提案を行っており、さらに幅広い分野での適用を検討しております。

 本年4月からは、関西学院大学 理工学部 尾崎幸洋教授と、「Compovision」近赤外カメラが得たスペクトル*3と関西学院大学の持つ解析技術を組み合わせ、生産ラインでの錠剤コート表面の検査技術および、有機高分子材料*4の一つであるポリ乳酸*5の結晶性やポリマーのブレンド比率検査について共同研究を開始しました。

 錠剤表面のコート検査は、従来は生産工程上での検査が困難でした。本検査技術の実用化により、生産工程上(その場)で迅速に錠剤のコート異常の検知が可能となり、また、周辺錠剤の破棄も不要となるので、生産効率の向上やコスト低減に寄与するものと期待しています。さらに、全数検査も可能となり、製品の安全性の確保にも貢献できるものと考えています。

左:正常にコートされた錠剤の解析画面/右:半分がコート不良の錠剤の解析画面

 高分子材料検査では、バイオプラスチックとして注目されているポリ乳酸の重要なパラメーターである結晶性と、ブレンドポリマーのブレンド比率計測に成功しました。

 今回の成果について、関西学院大学 尾崎幸洋教授は「Compovisionは、住友電気工業株式会社が持つ幅広い分野の技術を結集した全く新しいタイプの近赤外カメラである。本装置は、広帯域、高速という点では他の近赤外カメラの追従を許さないだろう。また非常に使いやすく、今後ポリマー、錠剤のみならず有機材料や食品など幅広い分野に大いに使われるだろう。」と、述べています。

 本成果は、米国・カンザスシティーで、9月30日(日)から10月5日(金)に開催される国際学会「FACSS2012(SCIX2012)」で、関西学院大学 石川大太郎博士より発表されます。

 また、当社では、10月9日(火)から10月11日(木)にスペイン・マドリードで開催される製薬業界関連合同展示会「CPhI/iCSe/P-mec/InnoPack」のP-mec (http://www.p-mec.com/) にて、「Compovision」近赤外カメラを動態展示します。ブリスターパック越しの錠剤検査やカプセル内部の判別、粉体の混合状態などを紹介するほか、本成果についてもポスター展示する予定です。ぜひ当社ブースへお立寄り下さい。

以上

・Compovisionは、住友電気工業株式会社の登録商標です。

【補足資料】

近赤外カメラ「Compovision」の特徴

1.広帯域波長測定
1000~2350nmの幅広い波長領域での測定ができます。これにより、従来では判別できなかった詳細な成分の違いを高感度で検出することが可能です。
2.解析時間の高速性
30cm四方のサンプルの画素データの収集から解析までを数秒で完了します。
3.複数サンプルの一括計測
サンプルのエリア計測(範囲)が可能なためコンベヤ上の複数サンプルの一括判定が可能です。
4.様々な環境下での活用が可能
独自技術で開発したカメラ素子により、温度変動の生じる工場環境でも安定動作が可能です。

用語解説

*1 :近赤外カメラ
波長720~2500nmの範囲内を感度に持つカメラを指す。この波長帯は、有機物の組成や変質、水の光吸収が顕著に表れるため、製薬製造プロセスにおける原料受入、製造プロセス管理、出荷検査、食品分野での原料検査、腐敗検査、異物検査などで注目されている。波長720~1700nm付近を感度に持つポイントカメラは従来からあるが、新規製薬材料やそれらと水との相互作用を見るには2000nm付近が重要と考えられている。
*2 :ブリスタ-パック工程
板状のプラスチックをバキュームフォームなどで成型・囲み込み、台紙に接着した包装のこと。薬の錠剤シートや、中身の商品を見せたいパッケージ等に使われる。
*3 :スペクトル
ここでは波長と測定対象に吸収された各波長の光量の相関データを言う。
*4 :有機高分子材料
分子量の高い有機化合物による材料でポリエチレン、ポリ塩化ビニール、合成ゴムなどがある。用途が広く、コンクリート用混和剤、塗料、せん維補強コンクリートなどに用いられる。
*5 :ポリ乳酸
ポリエステル類に分類される高分子の一つ。ポリ乳酸は、環境中の水分や微生物などにより最終的には二酸化炭素と水にまで分解され、農産物由来の持続可能な素材として注目を集めている。
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