本事業を通じて開発した、超電導送電を可能とする世界最大容量(20万kVA級)の三心一括型(注2)の超電導ケーブルを、東京電力の旭変電所(神奈川県横浜市)内に全長約240メートルにわたり設置、液体窒素を用いた冷却により超電導状態を維持し、電力系統に連系することでケーブルの実系統での運用性や信頼性、安定性を検証します。
なお、本実証試験で使用するケーブルの線材には、住友電気工業が開発したビスマス系高温超電導線「DI-BSCCO」を改良(注3)し、採用しております。超電導ケーブルの冷却システムの製造・運転は、前川製作所が行います。
1.概要
このプロジェクトでは、超電導ケーブルを社会の重要なインフラである電力供給システムに適用するために、これまでのNEDOの技術開発によって得られた超電導ケーブルの開発成果などを踏まえ、冷却技術などを統合する超電導ケーブルシステムを構築しています。また、超電導ケーブル単体だけではなく、線路建設、運転、保守を含めたトータルシステムの信頼性を実証するために、実系統に連系した実証試験を実施することによって超電導ケーブルのトータルシステムとしての総合的な信頼性を実証するとともに、革新的な高効率送電技術の開発・検証を行うことを目的としています。
本プロジェクトの実施により、安定的かつ高効率な電力供給のための技術開発を行い、超電導ケーブルの初期市場形成と新規産業の創出に貢献することを目指しています。
2.今回の成果
本プロジェクトでは、住友電気工業株式会社の開発による低交流損失型のビスマス線材を用いて、短尺ケーブルによる交流損失の検証および電力系統事故時における健全性の検証等と、これをもとにした30m級の三心一括型超電導ケーブルの設計、製造と大電流接続部である終端接続部、中間接続部の技術開発を行い、これららの各性能評価を行ってきました。
また、実証場所における超電導ケーブルシステムおよび運転・監視システムの設計と構築、超電導ケーブルシステムと既存系統との接続・切離しを行う保護・遮断システムの構築を東京電力株式会社と共に実施し、株式会社前川製作所が冷却システムの設計と構築、さらに送電を維持した状態でのメンテナンスの手法の検討を行い、実証試験のための超電導ケーブルシステムの設計に反映させて参りました。
これらを達成した後、66kV、200MVA級の三心一括型超電導ケーブルの製造及び中間接続部、終端接続部の設計及び製造、それらを冷却する液体窒素循環型の冷却システムを製造し、実証場所である東京電力株式会社旭変電所に実証用ケーブルシステム構築いたしました。
本日、日本国内で初めて実際の電力系統と接続し、実証試験を開始いたします。
3.今後の予定
NEDOは本実証運転を通じて、地球環境問題への貢献が期待できる超電導ケーブルシステムの実用化に向け、引き続き積極的に取り組んでまいります。
また東京電力、住友電工および前川製作所は、超電導ケーブルの実用化に向けた取り組みとして、通電容量の増大、建設コスト低減、高効率冷凍機開発等の技術開発に、さらに積極的に取り組んでまいります。
4.お問い合わせ先
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