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プレスリリース 2013年

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次世代無線通信規格に対応した広帯域高効率無線アンプを開発

2013年2月4日
住友電気工業株式会社

このほど当社は、次世代無線通信規格LTE-Advancedに対応し、2.6GHz帯を広くカバーでき、かつ電力効率の高い、携帯電話基地局用の広帯域高効率無線アンプを開発しました。
 当社は、携帯電話基地局の無線送受信装置Remote Radio Head*1(以下、RRH)製品を製造、販売していますが、今後、今回開発した技術をベースに3.5GHz等、より高い周波数への対応や更なる広帯域化、高効率化へ取り組むとともに、RRH製品へ実装するための量産技術の開発を進めていきます。

近年、スマートフォン等の普及による通信トラフィック量の急増に対応するために、携帯電話基地局装置の通信容量の拡大が急務となっています。通信容量拡大のための技術の一つに、無線通信の帯域幅の拡張があり、現在使われている無線通信規格LTEの次世代規格となるLTE-Advancedでは、帯域幅を現在の20MHzから最大100MHzまで拡張する技術が採用されています。

その一方で、高速化・広帯域化が進むLTE-Advancedにおいては、携帯電話基地局の消費電力の増大が大きな課題となり、携帯電話基地局の消費電力の大半を占める無線アンプの電力効率を大幅に改善する必要があります。現在は、電力効率の良いドハティ方式の無線アンプ*2(以下、ドハティアンプ)が主流ですが、一般的なドハティアンプは帯域幅が数十MHz程度であり、LTE-Advancedに対応するためには、より広帯域で、かつ電力効率が高い無線アンプが求められています。

こうした状況のなか、当社は、これまで培ってきた無線増幅器技術をベースに、ドハティアンプを構成するアンプモジュールの基本波および複数の高次高調波の帯域内の整合を最適化することで、ドハティアンプの広帯域化を実現しました。

今回開発した広帯域高効率無線アンプは、以下の特長を持ちます。主な仕様は表1のとおりです。

  1. (1) 100MHz以上の広帯域で53%以上の高効率を維持(図2参照)
  2. (2) 従来のドハティ方式と同程度の部品コストで実現可能
  3. (3) LTE~LTE-Advanced規格対応の広帯域な無線通信システムに最適

以上

【補足資料】

<図1. RRHと広帯域高効率無線アンプの構成>

図1. RRHと広帯域高効率無線アンプの構成

<表1.広帯域高効率無線アンプの仕様>

無線アンプ方式 ドハティ
送信出力 65W
送信周波数 2.6GHz
送信帯域幅 100MHz
効率(ドレイン効率*3 53%
隣接チャネル漏洩電力比 -50dBc
測定条件 LTE 10MHz×2キャリア PAPR=6.5dB

<図2. 周波数毎の効率と利得の特性>

図2. 周波数毎の効率と利得の特性
  1. *1 RRH:
    Remote Radio Headの略で、無線信号の送受信を行う装置のこと。RRHは、無線アンプ(高出力増幅器)を含む、送信部と、携帯電話からの電波を受信して増幅する受信部(受信用アンプ)とこれら送信部と受信部でアンテナを共有するアンテナ共有部(共有器)などで構成されます。
  2. *2 ドハティ方式の無線アンプ:
    最大送信電力に対して、半分の送信電力を持ったアンプモジュールを2つ使って構成するアンプ。通常、個々のアンプは最大送信電力付近で効率が良く、送信電力が小さい場合には効率が劣化します。これに対しドハティ方式は、常時動作するキャリアアンプと送信電力が大きい場合のみ動作するピークアンプを組み合わせ、送信電力が小さい場合はキャリアアンプのみが比較的効率の良い状態で動作し、送信電力が大きい場合にはピークアンプが動作します。ピークアンプが通常はオフになっているため、小さい送信電力時の電力効率の改善ができます。LTEのように最大電力と平均電力の差が大きい無線通信システムでは、平均電力付近での効率の改善ができるため、全体の電力効率が高くなります。
  3. *3 ドレイン効率:
    増幅器の無線出力電力と増幅器に供給した直流電源電力の比。
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