住友電工とSoitec社は、2010年12月以来、薄膜GaN基板の開発に関して協業してきましたが、今回の契約により住友電工は、Soitec社独自のSmart Cut技術の移管を受け、本技術を活用して製造した薄膜GaN基板を、高輝度発光ダイオード（LED）照明用途に販売していきます。
既に両社はこれまでの共同開発の中で、パイロット量産ラインにおいて4インチ並びに6インチの薄膜GaN基板の製造能力を確認することに成功しております。薄膜GaN基板は1枚の自立GaN基板から複数枚切り出される高品質超薄膜GaN層を、付加的な機能も有する低コスト支持基板に貼り合せて製造されます。この支持基板もまた自立GaN基板同様に、住友電工にて特別に本用途向けに開発されました。住友電工はSmart Cut技術の移管により、自ら製造ラインを新たに揃え、薄膜GaN基板の量産を進めていきます。
住友電工の半導体事業部長の三浦祥紀は、「我々の大口径高品質GaN材料と独自開発したユニークな支持基板、そしてSoitec社のSmart Cut技術というそれぞれオンリーワンの技術同士を組み合わせることで、我々は魅力ある製品をLED顧客に提案できることになります。今回ライセンスを受けたSoitec社の本技術により、我々は高品質の自立GaN基板から複数枚の高品質薄膜GaN基板を生み出すことが可能となり、実効的に低コストの製品を規模の大きな量産用途に供給することが可能となります。」と述べています。
Soitec 副社長のFrédéric Dupont は、「今回の契約は、化合物半導体市場のロードマップにおける非常に重要なマイルストーンであり、また我々の戦略の重要な最初のステップでもあります。本ライセンス契約は、Smart Cut技術によって高価格の基板材料から複数枚の薄膜基板を生み出すことで、経済性を高めることが可能となる、という本技術の新たな活用法を示した最初の契約となります。住友電工が、その革新的な材料開発技術を証明するだけでなく、新たに本技術を用いて内製していくことを決断したのは、高輝度LED用途に最もコスト効率の高い基板材料を開発していくにあたって、重要な資産となるでしょう。」と述べています。
Smart Cut技術は、世界で最も進んだマイクロエレクトロニクスの研究機関の一つであるフランスのCEA-LETI（仏国中央原子力庁電子情報技術研究所）にて開発されました。この技術は、軽元素のイオン注入技術とウェハ貼り合せ技術を用いることで、一方の半導体基板から単結晶の超薄膜を原子レベルでメスのように切り出し、もう一方の半導体基板へそのまま移して貼り付けることができます。また活性層の材料とその支持基板の材料の組み合わせを自由に選択することもできます。このため本技術により、標準品のみならずカスタム品も作られ、基板の一つの分野を形成するに至っています。Soitec社はSmart Cut技術を用いた基板の商業的量産に成功しており、そのビジネスは世界中の2000件以上の特許によって保護されています。Soitec社は現在、Smart Cut技術を活用して製造したSOI基板を世界的トップのチップメーカーに供給し、また本技術について排他的独占使用権と、第三者の材料・プロセスメーカーへのサブライセンス許諾権を所有しています。
Soitecグループについて
Soitecグループはエネルギーとエレクトロニクス業界において、革新的半導体材料の開発と供給で世界をリードする企業です。主要製品としてSOI基板（ Silcon-on-Insulator）、 CPV（集光型太陽電池）システム、またSmart-Cut・Smart-Stacking・Concentrix等のコア技術を有しています。その応用例は、携帯電話・情報通信・自動車・照明、さらには大型太陽電池ファームにまで広がっています。Soitecグループは、フランス・シンガポール・ドイツ・アメリカに工場及び研究所を持っています。Soitecグループに関する情報は、http://www.soitec.comにて入手できます。
- Smart Cutは、Soitecグループの登録商標または商標です。
