当社が開発したレドックスフロー電池は、バナジウムなどのイオンの酸化還元反応を利用して充放電を行う蓄電池です。電極や電解液の劣化がほとんどなく長寿命であり、発火性の材料を用いていないことや常温運転が可能なことから安全性が高いなど、電力系統用蓄電池に適した特性をもっています。このため今後、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの導入を拡大していく上で必要となる系統の安定化技術として期待されています。
当社はこのレドックスフロー電池を国内のみならず、諸外国においても普及拡大させていく計画であり、国際標準の整備にも経済産業省をはじめとする国内関係機関と密接に連携して取り組んでいるところです。
昨年10月30日には、日本工業標準調査会(JISC)(事務局:経済産業省)が、レドックスフロー電池の導入において特に重要となる電池の「安全性」について、国際電気標準会議(IEC)に新規提案を行い、3か月間の投票を経て、本年2月に正式な新規提案として審議することが承認されました。
このたび、新規提案を審議するために、IEC/TC21(蓄電池に関する専門委員会)及びIEC/TC105(燃料電池に関する専門委員会)のJWG(合同作業グループ)が設置され、当社が上記「安全」に関する日本提案について、審議を進めるプロジェクトのリーダーに決定しました。
これによりレドックスフロー電池の安全性を確保するための国際標準の整備が進むと期待され、当社は今後、レドックスフロー電池のグローバルな市場開拓を進めてまいります。
【参考】
再生可能エネルギーの導入拡大のためのレドックスフロー電池の活用に関しては、経済産業省の平成24年度大型蓄電システム緊急実証事業において、北海道電力株式会社と共同で、レドックスフロー電池を活用した、マルチな需給変動対策について、実証事業を実施中です。
▲ レドックスフロー電池の原理
▲ 当社横浜製作所にて実証運転中のレドックスフロー電池(容量1MW×5時間)
以上