今回、IMO(International Maritime Organization, 国際海事機関)で採択された「バラスト水及び沈殿物の規制及び管理の為の国際条約(バラスト水管理条約)」のガイドラインG8*1にもとづいた承認を、国土交通省より取得いたしました。今後はバラスト水管理条約に加えて、独自のバラスト水規制を行っている米国に寄港する船舶にも対応できるように、USCG(United States Coast Guard, 米国沿岸警備隊)よりAMS*2承認、さらに型式承認の取得を目指してまいります。
販売、メンテナンスにつきましては、エコマリン技術研究組合(大阪市此花区、理事長:田中 茂、当社専務取締役)にて開発中の電解型バラスト水処理装置「ECOMARINE® EC」とあわせて、日立造船株式会社(大阪市住之江区、社長兼COO:谷所 敬、以下、日立造船)と協力し、進めてまいります。
【バラスト水処理装置「ECOMARINE® UV」の特長】
- (1) 当社独自開発のフィルターによる高い生物除去性能
- 「ECOMARINE® UV」は、当社が独自開発したRCフィルター*3とUV(紫外線)装置を用いて2段階の処理を行います。まずRCフィルターの高いろ過性能によりLサイズ生物*4をほぼ完全に、Sサイズ生物*5も90%以上除去します。これにより後段のUV装置では、ろ過水の中に残った生物を低照射量で確実に殺滅することが可能となります。
- (2) 省電力性
- UV装置において低照射での殺滅が可能となりますので、処理流量200m3/hの場合、他社のUV型バラスト水処理装置の消費電力が20kW超であるのに比べ、「ECOMARINE® UV」は16kW以下と2割以上の省電力化を実現しています。
- (3)メンテナンスが容易
- 当社独自開発のフィルター機構でろ過と同時にフィルター洗浄を行うため、洗浄の際、装置を止める必要がありません。またRCフィルターとUV装置によるシンプルな機器構成です。
【「ECOMARINE® UV」処理フロー】
■バラスト水漲水時
■バラスト水排水時
【電解型バラスト水処理装置「ECOMARINE® EC」について】
当社は日立造船と、「エコマリン技術研究組合」を2012年12月に設立し、電解型のバラスト水処理装置「ECOMARINE® EC」を開発中です。本装置は本年4月にIMOよりG9*6の基本承認を取得し、2015年秋の国土交通省の型式承認取得を目指しております。この装置はRCフィルターと電気分解槽などで構成されます。「ECOMARINE® EC」も、RCフィルターの高い生物除去能力により、後段の電気分解槽で生成する次亜塩素酸の濃度を抑えることが可能となり、高い殺滅信頼性と省電力化を実現します。
*1 G8:
バラスト水管理条約で定められた「バラスト水管理システムの型式認証のためのガイドライン」
*2 AMS:
Alternative Management Systems の略。USCG によるバラスト水処理装置の承認は時間がかかると考えられ、IMOにより承認された型式に関しては、USCGによる承認として一時的に認められる措置のこと。
*3 RCフィルター:
Rotation Cleaningフィルター。ろ布に不織布を用いた交換式カートリッジを採用することで、高いろ過性能の維持を可能としています。
*4 Lサイズ生物:
バラスト水管理条約で定義された最小部の大きさが50マイクロメートル以上の生物
*5 Sサイズ生物:
バラスト水管理条約で定義された最小部の大きさが50マイクロメートル未満、10マイクロメートル以上の生物
*6 G9:
バラスト水管理条約で定められた「活性物質を使用するバラスト水管理システムの承認手順」
ECOMARINE は、住友電気工業株式会社の登録商標です。
以上