多くの尊い人命が失われた東日本大震災から間もなく一年となります。未だ不自由な生活を余儀なくされる方々が多数おられ、改めて衷心よりお見舞い申し上げます。
復興庁がようやく発足しましたが、被災者の視点に立った支援をスピード感をもって進めて欲しいと思います。今月21日開会の選抜高校野球では、石巻工業高校には、是非とも逆境に負けない気概を発揮されることを期待しています。因みに、我が母校洲本高校も26年ぶりに出場!
先月の関西財界セミナーにて、復興推進委員長に就任された五百旗頭先生が、全国民がどんな困難も克服できるという意思、信念、目的意識を持ち続けることが大事だと力説されていました。また古くは、明治・大正期の外交官 石井菊次郎が、一国の国力と繁栄の基礎は、国民一人ひとりの精神、気概に拠ると述べています。
企業も然りです。年頭挨拶では、少しユニークな表現ですが、本年は「夢を信じて、明るく楽しく元気良く」、昨年は「風通しの良い、温かい職場を育てよう、元気を出していこう」、一昨年は「気合いを入れていこう」と従業員に要望しています。
現在、私たち住友電工グループは、連結対象グループ会社が300社超、全世界の従業員が約20万人と、巨大な組織になっていますが、その基礎を成すのは、掛やグループという職場です。その職場を構成する一人ひとりの活性化なくして、強い組織はあり得ません。私が考える理想の職場とは、皆が活き活きと仕事に取り組める、温かく面倒見が良い職場。上下左右の活発なコミュニケーションがなされる風通しの良い職場。そして、業務にあたっては、全員が職場目標にベクトルを合わせてチームワークを発揮し、それぞれが動力となり「一隅を照らす」の精神で目標の達成にむけて愚直に取り組む、という職場です。そして、一人ひとりには、公私ともに夢を持って、健康に留意し活力ある人生を送って欲しいと、お願いしています。
この数年、リーマンショック、東日本大震災、タイ大洪水と、世界の社会経済に大打撃を与える災いが相次ぎました。
かつて大先輩より、「経営者は負けてはいけない。経営者は夢を創り、関係者に説明し、納得させ、実現にむけて全社のベクトルをあわせ、一丸となって自身も含め精進させることが重要な責務である」と教示されました。先行きへの不安感、不透明感が覆う昨今、千鈞の重みが伝わってきます。 |