省エネそしてクリーンな未来へ
化合物半導体デバイスで、どんな未来像が描けるのか。その答えのひとつが省エネです。電力の変換や制御を行うのがパワーデバイスですが、地球上で消費される全エネルギーの約5%がパワーデバイスで無駄に消失しています。そこで低損失化を目指し、エネルギーバンドギャップの大きい半導体のパワーデバイスの研究開発が精力的に行われています。近い将来、シリコンのパワーデバイスの何割かが化合物半導体パワーデバイスに置き換わり、省エネ社会に貢献できるでしょう。
半導体レーザ、受光素子などの光デバイス分野では、これまで実現できなかった波長帯のデバイス開発が進んでいます。例えば、波長の長い赤外線領域などでは、医療用、食品検査、セキュリティ、無線データ通信などへの応用が期待できます。もう少し波長の短い緑色領域でも、これまで実現できなかった半導体レーザを製品化しようとしています。このグリーンレーザの実用化で、携帯電話に搭載できるような小型のプロジェクタが可能になります。もっと波長の短い領域では、将来、紫外線光源が可能となり、有害物質が使われている水銀ランプなどを置き換えた小型の光源も実現するでしょう。今後さらに多種な化合物半導体デバイスが登場し、より快適でクリーンな省エネルギーの世界が実現されると期待しています。
もっと先には、化合物半導体デバイスによってエネルギーを効率良く蓄えたり、エネルギーを生み出すことも夢ではないでしょう。当社が化合物半導体の開発を始めた50年前は、現在のような状況を想像できなかったはずです。そう考えると、数十年先に夢が実現する可能性は十分にあります。
この30数年間において、研究開発がいつもうまく進んできたわけではありません。失敗の方が多かったと言えます。しかし、失敗を恐れず挑戦し、失敗を有効に生かさなければ、新しい製品は生まれないと思います。
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