皆さまご承知のとおり、世界を見わたしますと、欧州債務危機問題については、このところ警戒感は薄れているものの、未だ出口が見えて来ず、新興国についても対欧貿易が奮わず経済成長のスローダウンが伝えられ、大統領選挙を控えた米国でも、失業率が高止まりする状況に、追加の量的緩和策を導入しました。日本についても、デフレ基調が継続、円高ももはや常態化し、貿易収支は大幅な赤字。喫緊の政治課題を残したまま国会は閉会し、選挙風が吹く状態です。
また、領土問題を巡る日韓中の対立により、東アジア全域での緊張の高まりが懸念され、中東では、「アラブの春」後の混乱が未だ続くなど、世界各地域で不安定な情勢が続いています。
いずれの事象も、私たちの事業活動にはプラスに作用せず、日を追うごとに年初の想定よりも、先行きに対する不透明感が増しているように思います。私はかねてから、このように外部環境が厳しい時こそ、競争力の源泉となるSEQCDD※体質の強化を徹底的に取り組む必要があると社内にハッパをかけてきました。そこで、下期スタートの10月1日に、「安全・環境」「品質」「事務品質」、そして「SWITCHプラス運動」について、従来以上に強い達成意欲を持って取り組むよう、全従業員にむけて改めて社長メッセージを発信しました。
今から4年前、リーマンショック後の世界経済のリセッションでは、回復までに3年はかかるものと覚悟したものです。暗いトンネルを抜け出た時に大きく飛躍できるようにと、「身の丈にあった組織・コスト構造の再構築」「内部固めの拡大と深耕」「教育再武装運動の強化」という号令のもと、SEQCDD体質の徹底強化、人材、組織の改革にグループを挙げて取り組みました。こうした対策により、2010年には成長軌道に戻ったものの、2011年の東日本大震災、タイ国の大洪水と甚大な自然災害が発生し、当社グループも大きな影響を受けました。
「禍福は糾える縄の如し」と言えば達観的ではありますが、事業環境は急速かつ急激に変化するものです。一方、モノづくり力、そして事業を支える人材は、環境変化に関係なく、私たちメーカーの競争力の源泉であり、持続的成長を担保する生命線です。
グループ全員でリーマンショック後の厳しい状況を乗り越えたことを踏まえて、いま一度、気を引き締めて、環境変化にも揺るぎない企業体質づくりに取り組む所存です。 |