今年のカレンダーも残すところ1枚になりました。
約1年前、社員への年頭挨拶で、今年の事業環境は、欧州の債務危機問題、新興国の経済成長鈍化、日本もいわゆる六重苦問題など、将来への不透明感、不確実性が高まる状況であると述べました。これを踏まえて、今年の社員への要望事項に掲げた一つが「変化への対応力を向上しよう」です。
本年を振り返りますと、先進国では財政再建と景気対策、新興国でもインフレ抑制と成長の維持と、二律背反的な難問に各国の財政金融当局は大変難しい対応を強いられ、世界経済の減速感は拭いきれない状況です。さらに、日本企業においては、円高の継続に加えて、下期には中国市場での販売減、エネルギーコストの上昇も懸念されるなど、事業環境は厳しさを増しています。こうした外
部要因は、一企業では制御できない事象です。しかし、影響の濃淡こそあれ、あまねく降りかかってくるものでもあります。
また社会に目を向けますと、地球環境保全、エネルギー、水問題など地球的課題として顕在化し、情報通信技術や移動技術の進化、そしてグローバリゼーションは、ビジネスに限らず様々な局面に作用し、予測が困難で、大きな変化を引き起こします。
こうした変化への対策は、受動的には、少々の風雪では揺るがない企業体質を構築することであり、能動的には、ビジネスチャンスとして事業に取り込んでいかねばなりません。つい先日も、改めて全社員に、環境変化への対応力を高めて欲しいとハッパをかけました。
私たち住友電工グループの不易の精神である住友事業精神に、『我住友の営業は時勢の変遷、理財の得失を計り、弛張興廃することあるべしと雖、苟も浮利に趨り、軽進すべからず』※とあります。愚直に実践していかねばなりません。 |