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広報誌 SEI WORLD 2013年

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SEI WORLD 2013年 06月号(vol. 429)

さらなる薄型化と回路の高精細化を実現した「導電性ペースト接続フレキシブルプリント配線板(FPC)」を量産

フレキシブルプリント配線板(FPC)は、小型、薄型、高屈曲という特長により、電子機器には必要不可欠なものとして広く使われています。当社では研究部門で1969年にFPC 開発を開始して以来、柔軟な創造力と銅電線の製造技術を礎とした独自技術の開発によって、エレクトロニクス業界のニーズに応える製品を送り出してきました。

そしてこのたび、当社は、独自の金属ナノ粒子技術を生かした導電性ペーストを回路の層間接続に適用したFPC(以下、「導電性ペースト接続FPC」)を開発し、2013年4月から住友電工プリントサーキット(株)水口事業所の量産ラインを本格稼働させ、両面板FPCの出荷を開始しました。

 
■概要

  今回、量産を開始した当社独自開発の「導電性ペースト接続FPC」は、従来の電気めっき接続FPCと比べ、最大約30%の薄型化を実現し、それに伴い柔軟性も大幅に向上します。また、高精細な回路形成による配線の高密度化が可能となり、モバイル端末をはじめ、幅広い電子機器内配線の設計自由度の向上や省スペース化を実現し、今後も進化する電子機器のデザイン性や操作性の向上、高機能化に貢献できるものと期待しています。

■今回開発した導電性ペースト接続FPCの写真

断面

 

表面

 

FPC外観

■導電性ペーストによる接続技術について

  従来、両面板や多層板の上下の回路接続は、①絶縁フィルムに穴をあけ、②二種類の銅めっきを実施し、③回路を形成する、というプロセス(以下、パネルめっき法、図(1))が一般的でした。しかし、パネルめっき法では、めっき銅の厚みにより、回路の高精細化には限界がありました。

  一方、導電性ペーストによる接続(以下、ペーストビア法、図(2))は、①回路を形成し、②絶縁フィルムに穴をあけ、③導電性ペーストを穴に充填するというプロセスからなります。導電性ペーストに当社独自の金属ナノ粒子を採用し、ビアホールに高精度かつ均一に印刷・充填・固着させる技術を開発することにより、高い接続信頼性と品質安定性を実現することが可能になりました(特許出願済み)。ペーストビア法では、めっき銅の余分な厚みがないため、FPCを従来比で最大約30%薄型化でき柔軟性が大きく向上するとともに、より高精細な回路形成が可能になります。製造工程も、パネルめっき法と比べてシンプルになり、また不良の原因となりやすい、めっき工程を経ないため、高品質で信頼性の高いFPCを提供できます。

  今後は、量産ラインの海外展開を図るとともに、モバイル端末用液晶パネルやタッチパネル用途をはじめ、幅広い分野への拡販に取り組んでいきます。

両面板の上下回路の接続方法

FPC(フレキシブルプリント配線板)を総復習

■FPCってなに?

  FPCは、自在に曲げたり、変形させたりすることのできるフレキシブル(柔軟)な回路配線材です。薄くて軽く、また耐熱性にも優れていることから、機器の小型軽量化・薄型化に大いに貢献しています。種類は、片面板(※1)(回路一層)、両面板(※2)(絶縁フィルムを挟んで回路二層)、多層板(※3)(同、三層以上)があります(図)。現在、スマートフォンやタブレット端末、ハードディスクドライブ、DVD機器、家庭用ゲーム機など、幅広い電子機器に用いられています。

FPCの断面構造

※1片面板:
このFPCは、電気の流れる配線面が1面の設計です。薄さから自由な曲げと組み込みスペースの有効利用が可能です。繰り返し屈曲に優れ、稼働部での省スペース配線が可能です。
※2両面板:
このFPCは、電気の流れる配線面が2面の設計です。部品を表裏に搭載することが可能で、片面FPCに比べて、さらにスペースの有効利用ができます。
※3多層板:
このFPCは、電気の流れる配線面が3面以上の設計です。片面FPCや両面FPCを組み合わせ積層したFPCです。様々な構造があり、設計自由度が高いのが特徴です。

■携帯電話のこんなところに使われています

Irda:
赤外線通信の標準規格

住友電工プリントサーキット(株)の概要

事業内容 エレクトロニクス製品に使用されるFPCの開発、製造
本社所在地 滋賀県甲賀市水口町ひのきが丘30番地
代表者 代表取締役社長 西川 潤一郎
設立 2000年4月
資本金 15億円(当社100%出資)

住友電工プリントサーキット(株)

 
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