皆さまご承知のとおり、移動技術と通信技術の発展により、社会経済のさまざまな局面でグローバリゼーションが現在進行形で進んでいます。そして、従来は生産基地の側面が強かった新興国は、富裕層・中間層の増加に伴い、今後ますます市場としての存在感を高めるとともに、先進国のみならず、環境問題、エネルギー・食料・水などの資源問題の顕在化、高齢化社会の到来も予見されます。
製造業においても、今話題の3Dプリンターといったデジタル化、仕様や技術のオープン化、標準化された部品の組み合わせで製品を設計するモジュール化等、「ものづくり」でのパラダイムがシフトしています。また、製品のコモディティ化・価格競争への移行が速くなるとともに、技術的に優れた製品が売れるという構図が限定的になってきました。一方で、自動車において内燃機関から電気といった、技術革新による構造変化が起きつつあり、また、顕在化する資源問題の解決に向けても、新たな省エネルギーや代替技術が必要になります。
こうした舵取りの難しい状況ではありますが、コアテクノロジーを生み出す「研究開発」、そして、それを確たる品質のものに仕上げていく「ものづくり力」こそが、持続的成長の原動力と考えています。
本誌で、先日公表しました中期経営計画「17VISION」を紹介しておりますが、計画全体を貫く基本的な考え方を「イノベーション(事業の革新)」としました。「無から有を生み出すイノベーション」は言うまでもありませんが、ヨーゼフ・シュンペータが言う「既知のものの組み合わせによる新たなるものの創造」を含んだ広い意味でのイノベーションを指しています。
「17VISION」では、コアテクノロジーをベースにイノベーションを起こし、未来の社会ニーズに対応した新製品の開発に取り組むとともに、ビジネスモデルでのイノベーションも進める所存です。
さらに申し上げれば、グループ全員がそれぞれの業務において、住友事業精神や経営理念といった基本に則りながらも、イノベーションへと挑戦という気持ちを持って取り組んでまいります。
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