住友電工スチールワイヤー(株)が開発した高機能PC鋼材は、これまで橋梁などのコンクリート構造物の建設に幅広く用いられてきましたが、洋上風力発電設備の基礎という新たな用途に採用されました。洋上風車と観測タワーからなる本設備は基礎を海底に固定した着床式で、国内で初めて沖合に設置されたものです。日本での洋上風力発電の導入促進を目的として、現在、設備に作用する外力や風況と発電量の関係などを調査する実証研究が行われています。
本設備は、NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の実証プロジェクトとして建設されました。発注者は共同研究者である東京電力(株)、施工者は鹿島建設(株)です。
建設地点である千葉県銚子沖は日本有数の海難所であり、非常に厳しい海象条件下において、構造安定性と施工性を確保するためのさまざまな工夫が施されています。今回採用された住友電工スチールワイヤー(株)の高機能PC鋼材である内部充填型エポキシ樹脂被覆PCストランド(※1)、プレグラウトPCストランド(※2)もその一つです。過酷な腐食環境に耐えうる高機能PC鋼材の優れた耐久性はもとより、省資源化、工期短縮などのメリットが評価され、三角フラスコ型の重力式ケーソン基礎に適用されました。
洋上風力発電は陸上風力発電と比較して風況が良く風の乱れが小さい、大型風車の採用が容易、景観や騒音への影響が小さいなどのメリットがあります。これまで欧州を中心に普及してきましたが、クリーンエネルギーの切札の一つとして、今後は長い海岸線を活かした日本での導入が検討されています。
今回使用された高機能PC鋼材は土木学会「エポキシ樹脂を用いた高機能PC鋼材を使用するプレストレストコンクリート設計施工指針(案)」に適合しており、ますますの普及が期待されています。
住友電工スチールワイヤー(株)は、これからも優れた製品とサービスの提供により国内外の社会基盤形成に広く貢献していきます。
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