大相撲の横綱 日馬富士関が、法政大学の大学院に通い始めたそうです。横綱は、モンゴルの大学の通信課程で法律を学び、すでに昨年卒業されたそうですが、今回は地域経済学を学ばれるとのこと。母国を離れ、日本の伝統文化の代表ともいうべき相撲の世界で頂点を極めた若者が、そこに安住することなく別の分野にチャレンジをしようという意欲には敬服します。
そういえば、少し前に母校の卒業式に招かれ出席したところ、各学部や修士課程、博士課程の総代の何人かは、海外からの留学生でありました。私の学生時代には考えられなかった光景ですが、今の日本ではさほど珍しいものではなくなりました。ロシア人留学生の答辞が、私たちが使う日本語よりも、よほど美しいものであったことには賛嘆の念を覚えましたが。
グローバリゼーションとダイバーシティは、もはや抗うことのできない潮流であり、これをいかにうまく経営に取り込むことができるかが、私たち企業の将来を左右する鍵であります。異なる文化的背景を持つ人材が、相互に認め合い、時にはぶつかり合う中で切磋琢磨し合うことで、組織の力はアウフヘーベンされ、企業はより良い方向に導かれるものと考えます。
「内向き」と評されることも多い若い世代をいかに鼓舞し、その真価を発揮させるのか。母国を離れて身一つで飛び込んでくる逞しい若者たちをいかに受け容れるのか。もちろん、ダイバーシティは国籍だけの問題ではありません。ロングフェローがその詩「人生讃歌(A Psalm of Life)」で「奮起して励もう、勇気をもって」と詠ったような気骨ある人材を、どうやって増やし育てるのか。経営者の力が試されています。
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