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広報誌 SEI WORLD 2014年

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SEI WORLD 2014年 06月号(vol. 441)

PPLP®-MI直流海底送電ケーブル

  今回は、本誌特集ページにて紹介したMI海底ケーブルをさらに高性能大容量化した、当社が開発・実用化を進めている新しいPPLP®-MI直流海底送電ケーブルを紹介します。

 

これまではどのような海底ケーブルが用いられていたのですか?

  最長50km程度の比較的短距離の送電需要が多い日本国内の海底送電には、OF海底ケーブルが使われてきました。OF海底ケーブルとは、絶縁紙に低粘度の絶縁油を含浸させ、高低差や熱収縮で絶縁油が脱油して電気性能が低下しないよう絶縁油を加圧して運用するケーブルです。その絶縁紙には従来のクラフト絶縁紙から、当社が1970年代に開発・実用化した、クラフト紙とポリプロピレンをラミネートしたPPLP®が適用されるようになり、高性能化が図られてきました。

  一方、欧州の国家間長距離連系では、「クラフトMI直流海底送電ケーブル」が広く用いられています。OF海底ケーブルは絶縁油の加圧圧力が届く長さが50km程度という制約がありましたが、クラフトMI直流海底送電ケーブルは距離制限がありません。これは、加圧しなくても脱油しない高粘度絶縁油をクラフト絶縁紙に含浸して絶縁体を形成しているためです。

OF:
Oil-Filled、絶縁油

 

PPLP®-MI直流海底送電ケーブルの優れている点は?

  従来のケーブルよりもさらなる高電圧容量化に向けて、クラフトMI直流海底送電ケーブルのクラフト絶縁紙にかわり、当社はPPLP®を適用した「PPLP®-MI直流海底送電ケーブル」を開発しました。

  PPLP®を適用したことで、電気絶縁性能が向上するとともに、ポリプロピレン層がバリアとなり、絶縁油の脱油を抑制して高温でも運用できるようになりました。そのため、PPLP®-MI直流海底送電ケーブルは、送電容量が従来のクラフトMI直流海底送電ケーブルに対し、約30%増加しました。これにより国際連系線は、現状の500kVからさらなる高電圧大容量化を図ることができます。

■技術者に聞きました
PPLP®-MI直流海底送電ケーブル開発で難しかったことは何ですか?

電力事業部 開発技術グループ 符 ビンセント

  当社で実績のあったPPLP®-OF海底ケーブルと構造はよく似ていますが、PPLP®-MI直流海底送電ケーブルは絶縁油が非加圧のため絶縁破壊のメカニズムから検証して、製造条件や絶縁材料を選定する必要がありました。また試作ケーブルの製造に約3カ月+試験に約3カ月かかることから一つの試作条件の確認に約半年が必要であり、製造条件と材料の最適化には長期間必要でした。

PPLP®-MI直流海底送電ケーブルの今後の展開は?

  日本やアジア圏では短距離海底線のニーズしかなかったため、当社には長距離用のMI海底ケーブルの製品納入実績がなく、製品実績を重視する電力会社へのPPLP®-MI採用に向け、まず、クラフトMI直流海底送電ケーブルの実績を積む必要がありました。このため今年イタリアとモンテネグロを結ぶ海底電力ケーブルプロジェクトの500kVクラフトMI直流海底送電ケーブルの試作と評価を進め、ケーブルの製造を受注。これによりPPLP®-MI直流海底送電ケーブル実用化への道を拓くことができました。

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