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広報誌 SEI WORLD 2014年

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SEI WORLD 2014年 07月号(vol. 442)

高温環境下でも劣化しにくい耐熱性に優れたFPCを開発

当社は、1969年にフレキシブルプリント回路(以下、FPC)の製造を開始し、豊富な経験と独自の技術力によって、これまで信頼性の高い製品をお届けしてきました。
今回は、当社グループが開発した最新のFPC製品を紹介します。

 

FPCとは…?

  FPCは、極薄の絶縁フィルム上に電気回路を形成した配線材料です。柔軟かつ折り曲げることができ、小スペースでの立体配線が可能なため、特に、小型電子機器(携帯端末・HDD・DVD・ゲーム機など)を中心に採用が進んでおります。当社のFPCも、情報通信機器、パソコン関連機器、家庭用ゲーム機など、時代の先端を行く電子機器の分野で幅広く採用されています。

 

今回開発したFPCの特長は…?

耐熱FPCの断面構造(片面・両面板)

  当社は、高温環境下でも劣化しにくい耐熱性に優れたFPCを開発しました。新製品の特長は、FPCに使用されている接着材料にあります。

  FPCの構造には、導体(銅箔+銅めっき)を1層のみ使用した片面板と、導体を2層使用した両面板があり、導体を電気的に絶縁するために、ポリイミドフィルムと接着剤を貼り合わせた絶縁フィルムを使用しています(図)。従来の使用環境が150℃以下の電子機器用途のFPCは、カバーレイフィルム接着剤に、エポキシやアクリル系樹脂をベースとした接着材料が使用されてきました。しかし、150℃以上の高温環境下で使用した場合、構成材料が経年劣化するため、接着性・絶縁性が大きく損なわれる問題がありました。

  今回当社が開発したFPCは、接着材料に耐熱性のあるポリイミド系の樹脂を配合することで、高温環境下での絶縁フィルムの性能低下が抑制され、その基本性能(FPCの耐熱性・高温高湿下での耐久性)が大幅に向上しました。

  高温環境下での耐久試験(※1)では、①大気中150℃での高温放置、②高温高湿中での湿熱放置、③オイル中150℃での浸漬放置について評価し、いずれも初期および3000時間放置後において、FPCに求められるカバーレイの接着強度(JPCA規格、3.4N/cm以上)を満たすことを確認しています。

高温環境下での耐久試験

※1高温環境下での耐久試験:
自動車用の電線規格(ISO6722)では、ClassAからClassHまでの耐熱規格があり、150℃はClassDに相当します。長期熱老化試験では、「定格温度環境下にて3000時間放置し、巻き付け試験後に、絶縁層の破壊有無を確認する」となっております。FPCではこのような耐熱規格はありませんが、上記のClassDに準じた耐久試験として、150℃×3000時間をひとつの目安にしています。

 

FPCの新しい使用分野

  今回開発した耐熱性に優れたFPCは、高温での信頼性が要求される、車載パワートレイン(※2)やLED照明機器の中継ケーブル、部品搭載基板のほか、さまざまな分野での活用が期待できます。

  また、FPCは、今後の成長市場と期待されるウエアラブルデバイス、高速データ通信、ロボット、医療などの新しい分野にも使用が期待されています。

  自動車   ウエアラブル端末(小型・柔軟・高密度実装基板)  
  液晶、有機ELを含むディスプレイ アクチュエータ、振動板、カメラの手ブレ補正機能(高密度電磁誘導コイル) マイクロSDカードなどに用いるベアチップ実装基板  
  高周波用アンテナ、送受信モジュール ロボット分野(腕や足などの可動部の配線材) 医療機器(超音波プローブなど)  

※2エンジンなどの動力源からギア、シャフトなどを介して末端部分に動力を伝える機構。

 
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