当社は、6月18日付けでUV（紫外線）型バラスト水処理装置「ECOMARINE® UV」において、国土交通省より「バラスト水管理システム施行前試験合格証明書」を受領いたしました。これにより当社は「ECOMARINE® UV」（処理流量：100～1,000m³/h）の販売にむけた準備を加速していきます。

  今回、IMO（International Maritime Organization, 国際海事機関）で採択された「バラスト水および沈殿物の規制および管理のための国際条約（バラスト水管理条約）」のガイドラインG8（※1）にもとづいた承認を、国土交通省より取得しました。今後はバラスト水管理条約に加えて、独自のバラスト水規制を行っている米国に寄港する船舶にも対応できるように、USCG（United States Coast Guard, 米国沿岸警備隊）よりAMS（※2）承認、さらに型式承認の取得を目指していきます。

  販売、メンテナンスは、エコマリン技術研究組合で開発中の電解型バラスト水処理装置「ECOMARINE® EC」とあわせて、日立造船（株）と協力し、進めていきます。

※1G8：
バラスト水管理条約で定められた「バラスト水管理システムの型式認証のためのガイドライン」
※2AMS：
Alternative Management Systemsの略。USCGによるバラスト水処理装置の承認は時間がかかると考えられ、IMOにより承認された型式に関しては、USCGによる承認として一時的に認められる措置のこと。

■「ECOMARINE® UV」処理フロー

バラスト水処理装置「ECOMARINE® UV」の特長

  「ECOMARINE® UV」は、当社が独自開発したRCフィルター（※3）とUV（紫外線）装置を用いて2段階の処理を行います。まずRCフィルターの高いろ過性能によりLサイズ生物（※4）をほぼ完全に、Sサイズ生物（※5）も90%以上除去します。これによりUV装置では、ろ過水の中に残った生物を低照射量で確実に殺滅することが可能となります。

  UV装置において低照射での殺滅が可能となりますので、処理流量200m³/hの場合、他社のUV型バラスト水処理装置の消費電力が20kW超であるのに比べ、「ECOMARINE® UV」は16kW以下と2割以上の省電力化を実現しています。

  当社独自開発のフィルター機構でろ過と同時にフィルター洗浄を行うため、洗浄の際、装置を止める必要がありません。またRCフィルターとUV装置によるシンプルな機器構成です。

※3RCフィルター：
Rotation Cleaningフィルター。ろ布に不織布を用いた交換式カートリッジを採用することで、高いろ過性能の維持を可能としています。
※4Lサイズ生物：
バラスト水管理条約で定義された最小部の大きさが50マイクロメートル以上の生物
※5Sサイズ生物：
バラスト水管理条約で定義された最小部の大きさが50マイクロメートル未満、10マイクロメートル以上の生物

電解型バラスト水処理装置「ECOMARINE® EC」について

  当社は日立造船（株）と、「エコマリン技術研究組合」を2012年12月に設立し、電解型のバラスト水処理装置「ECOMARINE® EC」を開発中です。本装置は2014年4月にIMOよりG9（※6）の基本承認を取得し、2015年秋の国土交通省の型式承認取得を目指しています。この装置はRCフィルターと電気分解槽などで構成されており、RCフィルターの高い生物除去能力により、電気分解槽で生成する次亜塩素酸の濃度を抑えることが可能となり、高い殺滅信頼性と省電力化を実現します。

※6G9：
バラスト水管理条約で定められた「活性物質を使用するバラスト水管理システムの承認手順」

新規事業マーケティング部、新領域技術研究所 水処理研究部