炊飯器内釜の表面にコーティングする「スミフロン®コートアルミ」、フィルタ用多孔質膜「ポアフロン®」などのフッ素樹脂製品と、「スミチューブ®」などの照射製品を提供している住友電工ファインポリマー(株)(以下、SFP)。今回は、SFPのコア技術である「フッ素樹脂加工技術」と「電子線照射技術」を融合して開発した「架橋フッ素樹脂 FEX®」を紹介します。
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架橋フッ素樹脂 FEX®ってなぁに?
フッ素樹脂は、極めて優れた滑り性(固体中最小レベルの低摩擦性)や非粘着性など非常にユニークな特性を持っています。耐熱性、耐薬品性にも優れた材料である一方、分子間の結合力が弱いため摩耗しやすく、基材との接着が難しいという弱点がありました。そこで、フッ素樹脂に特殊条件下で電子線照射し、架橋※させることで、従来のフッ素樹脂と比べ1,000倍近く耐摩耗性を向上、さらに基材との接着を実現したのが「架橋フッ素樹脂 FEX®」です。
※架橋:
鎖状構造の高分子の分子どうしのところどころを結合させて、橋を架けたような結合をつくること。 |
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どんなところに使えるの?
架橋フッ素樹脂 FEX®の左記の特長を活かし、現在、産業機械や自動車、電気・電子機器に用いられる軸受やスライダー、摺動パッキンなどでお客さまと本製品の評価や共同開発などを行っています。
また社内でも本製品を活用しています。SFPでは、スミチューブ®の押出工程において、ダイスに異物が付着して不良になる問題がありましたが、架橋フッ素樹脂 FEX®をダイスにコーティングすることで、異物の付着を防ぐことができ、この問題を解決しました。現在では、当社グループのみならず、成型品を製造する社外のお客さまからもコーティングの依頼を受け、高い評価をいただいています。
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■技術者に聞きました
開発でどんなところに苦労しましたか?
フッ素樹脂は、最も架橋が難しいポリマーの一つで、安定して架橋させるにはたいへん苦労しました。架橋させる条件は、特殊かつ生産技術的に難易度の高いものですが、現在は安価で大量に生産できる装置の開発と導入を検討しています。
また、他社特許が多数成立していたことも問題でしたが、無効審判制度※を活用するなど踏み込んだ対策で解決しました。現在、当社の特許網構築も着実に進展しています。
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※無効審判制度:
既に登録されている特許の無効を求め、特許庁に請求する制度。
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