中期経営計画2028 グリーン・デジタル需要とらえグループの総合力を発揮 住友電気工業社長 井上 治氏

※著作・制作 日本経済新聞社(2026年 日経電子版広告特集)。記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます。

住友電気工業はこのほど2028年度を最終年度とする「中期経営計画2028」を公表した。全体構想図を見ると、住友グループの経営哲学である「住友事業精神」を土台に、3つの柱や注力3分野など、グループの総合力を結集して目標に向かう姿が示されている。新たな中期計画の狙いや、重点分野について、井上治社長に聞いた。

営業利益6000億円へ

――「中期経営計画2028」で、特に重視しているポイントは何ですか。

あえて1つ挙げるならば、「営業利益6000億円」です。過去最高益を達成した2025年度実績(4182億円)の約1.5倍というチャレンジングな目標で、グループ全体の成長力を結集する必要があります。

けん引役となるのは、AI(人工知能)向けデータセンター関連需要が旺盛な情報通信セグメントです。28年度の営業利益のポートフォリオに占める割合は40%に高まり、自動車を超える稼ぎ頭となる見込みです。ほかの事業部が減るというわけではなく、情報通信の収益性が高く、伸びが顕著だということです。

――25年度決算は「中期経営計画2025」の数値目標を大きく上回りました。要因は何でしょうか。

生成AIや再生可能エネルギーという市場の要請に対応したことが大きいと思います。情報通信セグメントで生成AIのデータセンター向けに光配線製品、光デバイスの需要が大きく伸長したことに加え、環境エネルギーセグメントでは電力ケーブルや受変電設備などの受注が好調でした。主力の自動車セグメントも堅調に推移するなど、すべてのセグメントが好調で、25年度は営業利益、経常利益、純利益のすべてが過去最高益を更新しました。

フォト:井上 治氏

井上 治氏

「融合領域」で新たな需要に対応

――注力3分野として「デジタル・AI」「エネルギー」「モビリティ」を掲げています。それぞれの取り組みについて教えてください。

デジタル・AI分野では、北米のハイパーデータセンター市場向けに、超多心光ケーブルや光コネクターなどの引き合いが強く、受注が生産能力を上回っている状態です。増産投資を急いで需要に応えるとともに、先を見据えた新製品の開発にも取り組みます。

エネルギー分野では、欧州で洋上風力発電をはじめとする広域連系案件が増える見込みです。現地の生産体制を強化し、受注を拡大します。

モビリティ分野は、自動車の電動化や高速通信に対応する製品開発に力を入れます。26年2月に完全子会社化した住友理工とのシナジーを高め、製品力や提案力を強化します。

――新たに「3つの柱」を設け、1番目に「グループの総合力を発揮する」と記しています。狙いは何ですか。

当社グループは、環境エネルギー、情報通信、自動車、エレクトロニクス、産業素材の5つの事業セグメントに分かれていますが、さらに、「融合領域」での強みを発揮することでグローバル展開に取り組みます。それぞれのセグメントで培ってきた多様な技術シーズを組み合わせ、磨き合うことにより、新しい需要に対応した商品を開発し、顧客への提案力を高めます。

グループ内のシナジーという意味では、完全子会社化した日新電機やテクノアソシエ、住友理工をはじめ、400社のグループ会社との関係をさらに強化します。生産拠点の再構築や原料調達手段の確保などサプライチェーンの強靱(きょうじん)化を進め、グループの総合力で競争優位を確固たるものにします。

全体構想図

――今後3年間の設備投資を1兆円と、大幅に増やす狙いは? 特に注力する分野は何でしょうか。

26〜28年度の設備投資額は累計1兆円と、23〜25年度実績(6803億円)の約1.5倍に積み増します。累計額としては過去最高水準です。急速に拡大するグリーン・デジタル関連市場など、足元の成長機会を確実につかむための攻めの投資です。

特に注力するのは、デジタル・AI分野です。生成AIの市場拡大に伴うデータセンター関連製品の需要急増への対応を急ぎ、北米市場を中心にシェアを拡大します。

経営の基本は「五方よし」

――株主だけでなく、顧客や従業員、取引先、地域社会を含むすべてのステークホルダー(利害関係者)を重視する「五方よし」を掲げています。社内外に浸透してきたという手ごたえはありますか。

「五方よし」の表現は最近掲げたものですが、400年を超える住友グループの歴史の中で受け継がれてきた「住友事業精神」に通じる考えであり、1897年の創業以来、当社が持続的な発展を遂げてきた礎そのものです。「中期経営計画2025」に具体的・定量的な目標を掲げてから、機会のあるごとに社員には説明してきたこともあり、社内には深く根付いていると思います。

一方、投資家をはじめとする社外の人たちにどう伝えていくかは課題です。2025年9月に改訂した「サステナビリティ経営に関する基本方針」に「五方よし」の文言を明記したほか、「コーポレートガバナンス報告書」にも基本的な考え方として掲載しました。

今般の「中期経営計画2028」では、5つのステークホルダーに対する目標を引き上げ、対外的なコミットメントとして掲げています。統合報告書などによる情報発信を通じて、幅広いステークホルダーに理解いただけるよう努めていきたいと考えています。

「五方よし」マルチステークホルダーキャピタリズム

――7月1日を効力発生日として1株を4株にする株式分割を実施します。どのような狙いでしょうか。

現在の株価水準では最低投資単位が100万円を超えてしまいますが、株式分配により20万~30万円程度から買えるようになります。株主・投資家の幅を広げて、安定的な配当による還元を果たしていくという「五方よし」の実践の一環として受け止めていただいたらと考えています。

――最後に、ステークホルダーへのメッセージをお願いします。

当社は、お客様、従業員、お取引先、地域社会、株主・投資家の皆様との共栄を図り、それぞれのステークホルダーに成長の成果を適切に分配していくこと、すなわち「五方よし」を経営の基本的な考え方にしています。「中期経営計画2028」で掲げた、売上高6兆円、営業利益6000億円、税引き前投下資本利益率(ROIC)15%以上という目標は、顧客への価値提供、社員の成長、取引先との発展、地域社会への貢献、そして株主・投資家への還元につなげていくべきものです。グリーンな地球と安心・快適な暮らしの実現に向けて、これからもグループ全体で貢献していきます。

SUMEEDY

住友電工グループ
公式キャラクター「スミーディ」

〜ブランドをもっと身近に、
技術をもっとわかりやすく〜

住友電気工業株式会社は、事業や製品の情報をよりわかりやすく、 親しみやすくお伝えできるようブランドのイメージや特徴を視覚化した 公式キャラクター「スミーディ」を制作しました。本キャラクターは、当社の事業の礎である銅線から誕生し、 いくつものラインが折り重なったからだで当社グループが積み上げてきた多様な技術を表現しています。

名称は社内公募で寄せられた589件の候補から選定し、 社名の音を掛け合わせた響きにより直感的に想起しやすい「スミーディ」に決定しました。今後、刊行物や広告媒体、WEB、SNSなどで本キャラクターの活用を通じて、当社グループの魅力を発信していきます。今後とも「スミーディ」の活躍にご期待ください。

住友電工グループの中期経営計画を探る くわしくはこちら
住友電工
TOP