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広報誌 SEI WORLD 2014年

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SEI WORLD 2014年 06月号(vol. 441)

海底ケーブルプロジェクト

海底ケーブルの製造から布設まで一括で請け負うことができる当社グループは、日本はもちろん世界の送電インフラ整備に貢献しています。
今回は、当社グループが長年培ってきた高い技術力が評価され参画してきた、国内外の大規模プロジェクトの一部を紹介します。

  今回紹介するプロジェクトには、以下の2種類のケーブルが活用されています。

■XLPEケーブルとは

日本では“CVケーブル”とも呼ばれています。XLPEはCross - linked Polyethyleneの略であり、ポリエチレンを架橋し分子構造を網目構造とすることで高温での軟化を大幅に改善したものです。XLPEケーブルはこれを絶縁体に使用したものであり、他の絶縁材料より高温で使用できることから導体サイズが低減可能になります。

■MIケーブルとは

日本では“ソリッドケーブル”とも呼ばれています。MIはMass Impregnatedの略であり、絶縁紙に高粘度の絶縁油をマス含浸することを意味します。MIケーブルは、これを絶縁体に使用したものであり直流特性に優れるとともに、OF(Oil Filled)ケーブルに対し給油設備が不要となり、長距離送電が可能になります。

 

【PROJECT 01】
北海道と本州を結ぶ直流±250kV XLPE海底ケーブルプロジェクト

ケーブルの布設風景(函館側陸揚部)

  当社子会社の(株)ジェイ・パワーシステムズ(以下、JPS)は、2009年に電源開発(株)より北海道と本州を結ぶ約43kmの海底ケーブル工事を受注しました。本プロジェクトには、JPSと電源開発(株)が共同開発した直流XLPEケーブルが採用されております。従来の交流XLPEケーブルを直流で用いると、空間電荷の蓄積現象で極性反転時(運用の状況に応じて電圧の+と-が入れ替わる)の絶縁性能が低下する問題がありました。JPSでは、世界トップの性能と汎用性を持つ絶縁材料の開発に成功し本プロジェクトに適用しました。今回納入したXLPEケーブルの電圧は250kVと、この種のケーブルとしては世界最高であり、極性反転が可能なことも直流XLPEケーブルとしては世界初となります。本プロジェクトはケーブル布設と竣工試験を終了し、2012年12月より運用を開始しています。世界最高電圧の直流XLPE海底ケーブルの実用化により世界中の注目を集めたとともに、今後の国内外の送電プロジェクトへの応用が期待できます。

 

【PROJECT 02】
台湾本島・ポンフー(澎湖)島間の交流161kV XLPE海底ケーブル布設プロジェクト

  JPSは、2011年に住友商事(株)と共同で、台湾の電力会社である台湾電力公司より台湾本島と台湾南西部沿岸から西に約60km離れた澎湖(ポンフー)島を結ぶ海底電力ケーブル6本の製造と布設プロジェクトを受注しました。

  ポンフー島は、漁業と観光を主産業としサンゴ礁など豊かな自然を有する美しい島です。自然を保護し「低炭素島」と呼ばれる低炭素社会を構築するため、台湾は同島の再開発を進めており、その一環で、同島の電力供給源であるディーゼル発電所を廃止し風力発電所を建設するなど、再生可能エネルギーへの移行促進を図るものです。

  その中で本プロジェクトは、本島からの電力調達から再生可能エネルギーへの移行期における電源安定化という重要な役割を担っており、ポンフー島の低炭素島構想を実現する上で必須のプロジェクトとして位置付けられていました。

  本プロジェクトの総布設距離は350km以上、布設深度は最も深い所で約150mあり、この種のプロジェクトとしては世界最大級のものです。現在、プロジェクト完工に向けて、ケーブル製造を進めています。

 

【PROJECT 03】
モンテネグロとイタリアを結ぶ直流500kV MI海底ケーブルプロジェクト

  当社は、2014年1月にモンテネグロとイタリアを結ぶ海底電力ケーブルプロジェクトにおいて、イタリア電線メーカーのプリズミアン社より、MI海底ケーブルの製造を受注しました。本プロジェクトは、イタリアのテルナ社の子会社であるテルナ・レテ・イタリア社が計画中のもので、モンテネグロとイタリアの間に、送電容量500MWの直流500kV電力ケーブルを2条(双極運転で1,000MW送電が可能)、最大深度1,200m、亘長約415kmにわたって布設するものです。

  本プロジェクトは、ヨーロッパ全土を結び、再生可能エネルギーの大規模導入、電力需給の均衡、効率的な送電を行い、ヨーロッパにおける電力市場を活性化させる次世代送電網(スーパーグリッド)の構築をより促進します。

  当社は、本プロジェクトを計画通りに完工させるために必要となる直流500kV MI海底ケーブル115kmの製造を担っており、2014年に当社・大阪製作所で製造を開始し2016年に納入予定です。本プロジェクト受注により当社は、500kV長距離大容量の国際連系線市場に参入を果たしました。

「SEI子さんと学ぶもっと知りたいあの製品技術」にてMI海底ケーブルをさらに高性能大容量化した、当社独自開発のPPLP®-MI直流海底送電ケーブルを紹介しています。

 

【PROJECT 04】
サンフランシスコ湾 交流230kV XLPE海底ケーブルプロジェクト

  当社・米国法人Sumitomo Electric U.S.A., Inc.は、2014年2月に米国サンフランシスコを拠点とする電力会社であるPacific Gas & Electric Companyよりサンフランシスコ湾内での230kV XLPE海底ケーブルの資材供給および布設工事プロジェクトを受注しました。

  本プロジェクトは、サンフランシスコ湾内の全長4.5km(総布設距離13.5km)の距離を結ぶものです。

  本プロジェクトには、JPSが製造する海底電力ケーブルが採用され、日本より輸出されます。2015年1月より布設工事を開始、7月に完工する予定です。これにより、サンフランシスコ市内の電力幹線網が拡充され、より安定した電力の供給が行われるようになります。

今後も住友電工グループは、海底ケーブル布設プロジェクトへの積極的な取り組みを継続させていきます。
海底ケーブル布設のイメージ写真   ケーブル布設船への積込み風景
 
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