PC鋼材(土木-プレグラウトPC鋼材)
プレグラウトPC鋼材
プレグラウトPC鋼材の外観
プレグラウトPC鋼材は予め工場で鋼材に後硬化型の樹脂が塗布されシースに包まれているため、現場でのグラウト作業が不要となる鋼材です。このため、省力化、PCケーブルと構造物の信頼性向上、工期短縮などの様々なメリットがあり、昨今、飛躍的に普及している防食鋼材です。
また、従来のプレグラウトPC鋼材は硬化速度に及ぼす温度の影響が大きく、高温になるコンクリート部材への適用が困難でしたが、この欠点を解決する「湿気硬化型樹脂」を開発しました。これにより温度の高いマスコン部材や1本のケーブル内に、温度履歴の大きな差が生じるような場合にも適用が可能となり、その用途はさらに広がりを見せています。
鋼材の配置状況
プレグラウトPC鋼材適用分野別重量比率(2001年度納入実績)
シングルストランド工法におけるプレグラウトPC鋼材の重量比率
従来工法との工程比較
設置箇所の事例
特性、適用限界、耐食性
樹脂の特性
付着特性
供試材 | 最大引抜荷重 (kN) |
---|---|
湿気硬化型樹脂 プレグラウトPC鋼材 φ28.6 | 158.2 |
従来樹脂 プレグラウトPC鋼材 φ28.6 | 131.9 |
PC鋼より線 φ28.6 | 130.4 |
摩擦特性
湿気硬化型樹脂プレグラウトPC鋼材の設計上の摩擦係数は以下を標準としてください。
μ(1/rad) | λ(1/m) | 備考 | |
---|---|---|---|
横締めケーブル | 0.10 | 0.003 | 直線に近く、比較的短い鋼材 |
縦締めケーブル | 0.30 | 0.004 | 上記以外の横締め鋼材を含む |
プレグラウトPC鋼材の適用限界
- 下のグラフの適用限界温度でコンクリート打設後2週間の緊張可能期間を確保
- 本州の平均気温(16℃)であれば、コンクリート打設後の最高温度が45℃程度でも数年程度で硬化(※)
※デュロメータ硬度20(タイプD)が発現する時間
耐食性
塩水噴霧試験3000Hr後に線内部にも発錆なし
寸法及び機械的特性
呼び名 | 公称 断面積 (mm²) |
引張 加重 (kN以上) |
降伏 加重 (kN以上) |
伸び (%以上) |
リラクセーション (1000hr後) |
シース径 | 凸部の シース厚さ (mm以上) |
プレグラウト PC鋼材 単位質量 (g/m) |
PCより線 単位質量 (g/m) |
|||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
凸部 | 凹部 | リブ部 | ||||||||||
N(%以下) | L(%以下) | 標準径 (mm) |
標準径 (mm) |
最大径 (mm以下) |
||||||||
19本より21.8 | 312.9 | 573 | 495 | 3.5 | 8.0 | 2.5 | 29.0 | 24.5 | 36.0 | 1.0 | 2,790 | 2,482 |
19本より28.6 | 532.4 | 949 | 807 | 3.5 | 8.0 | 2.5 | 36.0 | 31.5 | 45.0 | 1.2 | 4,520 | 4,229 |
諸注意
樹脂に接触した場合の処置について
- 樹脂が皮膚に付着した際は、速やかにふき取り、樹脂の付着した箇所を中性石鹸でよく水洗いしてください。
- 樹脂が目に入った場合は、流水で十分洗い、速やかに医師の診断を受けてください。
鋼材の保管期間及び使用時の注意事項について
- 直射日光に当たる場所、高温となる場所、雨水の直接かかる場所での保管は避けてください。
- 納入からコンクリート打設までの保管期間は納入後1カ月以内、コンクリート打設から緊張までの期間は2週間以内でお願いします。
- 適用可能なコンクリート打設後の最高温度は95℃以下です。
- コンクリート打設後の温度が95℃を超える場合、保管期間、緊張までの期間が長くなる場合は事前に住友電気工業(株)にお問い合わせください。
- 荷扱い時にシースを損傷させないよう、吊り具はナイロンスリングをご使用ください。
また、鉄筋やバイブレーター等に当てないように注意をお願いします。 - ご使用に際しては取扱要領書をご参照ください。
- 施工機器、定着具等については各種シングルストランド工法の設計・施工指針をご参照ください。