3456心という超多心光ケーブルを実現した住友電工グループ。その開発・製造と同時並行で進められたのが、ケーブルとケーブルをつなぐ各種光機器の開発だった。超多心ケーブルはデータセンタまで敷設されるが、それらをデータセンタ内に導入し、最適な収納と配線を各種光機器で実施することで、はじめてデータセンタは高速大容量の光通信を実現し、クラウド等のコンピューティングサービスの提供が可能となる。たとえば光クロ―ジャ。建物の外で光ケーブルを接続する場合には、光ケーブルの接続点を収容する光クロージャは欠かせない。あるいは、建物に引き込まれた光ケーブルは、ラック(配線集約架)に収納されてデータセンタ内に配線される。さらに光ファイバを接続・着脱する光コネクタも重要な光機器だ。これら各種光機器は、「超多心化」という従来とは異なる次元の環境下で、新たな進化が要請されたのである。光機器事業部データセンタ技術部長の上田知彦は、「お客様に密着し、お客様の課題を徹底してヒアリングして、その解決に向けた光機器の設計・開発を進めました。最大のポイントは3456心の光ファイバの高密度収納と最適な配線の実現。さらに容易な作業性や信頼性の確保、機能性・拡張性の向上など、お客様と議論しつつ、的確なカスタマイズによってソリューションを提供していったのです」
上田らは光配線ソリューションを提供する過程で、世界最高レベルの低接続損失を実現した光コネクタを開発、さらに接続後の信頼性を担保する検査の自動測定器も生み出し、顧客から高い評価を受けている。
現在、米国においてデータセンタは急速に拡大しているが、ここへきてデータセンタのグローバル化が始まっている。
「米国のみならず、ヨーロッパ、アジアへとデータセンタ設置は拡大しつつあります。今後、超多心光ケーブルの需要は急増することが確実視される中、我々はそれら旺盛な需要に対しどう応えるかが問われています。キーとなるのが短納期と低コストの実現。そのためには設計開発を担うデザインセンタや生産拠点を再編することをグローバルな規模で視野に入れる必要があります。これまで我々はニーズに応える光機器の開発者という立場でしたが、今後は開発者の顔と同時に、グローバルな製造業の顔を併せ持つことが求められています」(光機器事業部長・末次義行)
世界のデータセンタで高い評価を獲得している住友電工グループの超多心光ケーブルは、超多心化技術と先進の光機器の両輪によって支えられている。