世界的な人口の増加、新興国の近代化、気候変動による水不足など、世界の水リスクは厳しさを増し続けています。
水資源が豊富とされる日本も例外ではありません。
豪雨による浸水や震災など、自然災害によりライフラインが断たれるリスクが、年々高まっています。
住友電工では、オフィスビルや病院、さらには自治体のBCP(事業継続計画)の対策として、
緊急時に水を再生するシステム「水の自己水源」の開発も視野に入れて事業を進めています。
水リスクゼロの社会を目指して。
私たちの挑戦に終わりはありません。
生活排水の水質規制への対応
中国/湖南省
中国の農村部の多くでは、生活排水を河川へ放流するため、環境汚染が問題となっています。2015年からは、国の指導により排水の水質規制が厳しく定められました。
住友電工は、「ポアフロン精密ろ過膜モジュール」を搭載した排水処理装置を農村分散集落に導入し、フィールドテストを実施。高い処理能力や耐久性、そして長期にわたる安定運転性能が高く評価され、現在では70以上の集落で排水処理装置が稼働しています。今後もさらに、より多くの人々が安全な水を利用できるよう、各地域での水処理整備事業を推進するとともに、海や河川などの自然環境の保全活動に取り組んで参ります。
工場排水再利用への挑戦
台湾/高雄市
降雨が少なく水不足が深刻化する台湾南部では、産業排水の再利用率85%以上が義務化されています。経済発展に伴い、使用する工業用水や排水量も増加し、より高度な水処理システムが求められていました。
そこで住友電工は、大規模製油所の排水浄化プロジェクトに参画。度重なる現地実証試験と改良により、水質、運転性能、電気消費量などの長期にわたる効果を実証し、高い排水回収率を達成しました。環境に配慮した水処理施設の導入により、限りある水資源の再利用率向上に貢献しています。
油田掘削の圧入水の再利用
アメリカ/テキサス州
油層の圧力が低い油田では、水を圧入して石油を地表へ押し上げて生産量を増やします。その際、石油や土砂が混ざった水が大量に排出され、地下水に流れ込むことで、生活用水の汚染が問題視されています。
住友電工は、圧入水の排水処理及び再利用システムを開発し、大量の含油廃水の安定処理を実証。地下水汚染の課題解決を目指し、地域の人々が安心して水を利用できる環境づくりと自然環境の保全活動を推進します。