明電舎が納入した変圧器。この変電所だけで4台納入されている
住友グループの一角に位置する株式会社明電舎(以下、明電舎)は、変圧器メーカーとして国内トップクラスの実績を誇る。今回のプロジェクトにおいて明電舎は、フェーズ1において変圧器192台を納入したのを皮切りに、フェーズ2においても受注を果たした。明電舎はインド市場において、日系自動車メーカーへの受変電設備の供給から事業を本格化させている。大きな転機が訪れたのは、現地の変圧器メーカーへの出資だった。これが、今回のプロジェクトにおける受注成功の背景にあった。
「今回のプロジェクトは明電舎とインドにある変圧器製造会社Prime Meiden Limited(以下、プライム明電)との共同受注です。現在、世界の変圧器市場はグローバルメジャー企業とローカル企業がシェアを占有していますが、そのなかで明電舎は拠点重視策として現地企業に出資し、プライム明電として電力会社などへ拡販を進めてきました。2016年6月に株式の過半数を取得し、日本とインドの緊密な生産連携が実現。インド政府が掲げる“Make in India”にも応える体制が整ったのです。今回の落札は、日本での実績に加え、安全性を確保した日本の規格や品質への高い評価があったからだったと思います」(プライム明電・平川春夫氏)
今回、明電舎が受注に至る過程では、住友電工グループとの連携はない。だが今後、新たなプロジェクトで連携・協働する可能性は少なくない。平川氏も「ALL住友」としての取り組みに期待を寄せる。
「プライム明電は、インド国内のみならず世界市場を視野に入れています。その一つのエリアがアフリカ。大規模インフラのプロジェクトは中国が席巻する勢いですが、中国がまだ手を伸ばしていないエリア、あるいは小規模でも確実にニーズがある電力系インフラなど、住友のグループパワーで新しいビジネスを創造できればと考えています」(平川氏)