レドックスフロー電池。バナジウムなどのイオンの酸化還元反応を利用して充放電を行う蓄電池。この中にもS-FREE®は使われている
S-FREE®としてブランドが立ち上がったのが、2019年11月。それ以前から、キャブタイヤケーブルをターゲットとしたブランド化の取り組みは進められてきたが、現在のテーマの一つが、ブランドの一層の浸透と定着だ。そのフロントで奮闘しているのが産業システム営業部である。メンバーを率いる部長の加藤雅彦に改めてS-FREE®の強み、市場での優位性を聞いた。
「我々が主戦場としているのは汎用品市場ではなく、お客様のニーズに合わせて製品を供給するカスタム品の市場です。したがって、そこで重要になるのは、お客様のニーズ・課題、市場の変化を的確かつ迅速にキャッチして製品開発を進めていくということです。我々はモノを卸して販売するのではなく、お客様の声を直に聞き、必要とされる製品で確かなソリューションを提供していく。それを突き詰めていく中で、他社との明確な差別化を生み出していきたいと考えています」(加藤)
S-FREE®の市場での評価の高さは、数字にも表れている。住友電工としてブランド化し再スタートした2014年度との売上比で2019年度は20%増を達成、さらに2022年度には2019年度売上比で20%増の達成を目指している。そうした中で、どのような課題があり、どのようなビジョンを描いているのか。産業電線事業部長である寺尾俊彦は次のように語っている。
「キャブタイヤケーブルをはじめとした、ゴム被覆系ケーブルの市場は成熟した分野です。したがってS-FREE®拡販のために我々が進めなければならないのは、S-FREE®の可能性の拡大であり、新たな市場の開拓です。これまでキャブタイヤケーブルは、移動用電力供給ケーブルであることから、大型構造物の製造現場や建設施工現場など、過酷な環境での用途が中心でしたが、時代の変化に応じた新たな市場の開拓が必要です。すでに進められている、再生可能エネルギーの普及に伴う大型蓄電池などへの供給もその一つ。あるいはIoTやテレワークなどデータトラフィックの増大に伴い、都市型のデータセンターも増える傾向にあります。5Gの時代を迎え、携帯基地局も拡大しつつある。これらの施設では、狭隘なスペースに配線されることが多いことから、S-FREE®が持つしなやかさや柔らかさ、端末作業のしやすさなどの特性が活きると考えています。今後もS-FREE®を利用していただける方に寄り添った製品を提供していきたいと考えています」(寺尾)
S-FREE®の可能性を拡大していくことは、さまざまな現場に、確実に快適さをもたらしていくことだ。革新的ケーブルS-FREE®——、その成長と進化が、現場を変え、作業を変え、そして働き方を変えていく。