プレスリリース
「平成27年度文部科学大臣表彰・科学技術賞(開発部門)」を受賞
~「超高圧長距離直流送電用架橋ポリエチレン電力ケーブルの開発」にて~
2015年4月15日
住友電気工業株式会社
当社の100%子会社である株式会社ジェイ・パワーシステムズ(以下、JPS)の社員が、平成27年度文部科学大臣表彰において、「超高圧長距離直流送電用架橋ポリエチレン電力ケーブルの開発」にて、科学技術賞(開発部門)を受賞、本日表彰されました。
- 1. 受賞者
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- 片貝 昭史 JPS執行役員 電力機器事業部長
- 村田 義直 JPS技術本部 研究開発センター システムグループ GM
※今回の受賞は、大木義路氏(早稲田大学)、伊藤康雄氏、佐々木英隆氏(電源開発) との共同受賞となっております。
- 2. 受賞技術の概要
近年、長距離・大容量送電に有利な直流送電線路が欧州などで活発に建設されています。これらの線路には、絶縁油を用いたMI/OFケーブル*1 が主に用いられてきましたが、保守管理、経済性や環境面から、固体絶縁である架橋ポリエチレンケーブル(以下、XLPEケーブル*2)の適用が望まれるようになりました。
XLPEケーブルは、交流送電用としては広く普及していますが、直流電圧下では絶縁体中に空間電荷*3が蓄積するなどの理由で十分な絶縁性能を発揮できませんでした。
この問題に対し、XLPE絶縁体中に特殊な配合剤を均一に分散させることで、材料の体積抵抗率を飛躍的に向上させ、また、絶縁体中に蓄積する空間電荷を劇的に減少させた、これまでにない高性能な「超高圧直流XLPEケーブル」の開発に成功しました。非常に優れた直流絶縁性能によって、従来に比べ約20℃高い温度(90℃)での連続運転と、送電電圧の極性反転*4運転とを世界で初めて可能としました。
このケーブルは、北海道と本州をむすぶ連系送電線(±250kV)に採用され、2012年に海底部と陸上部を合わせて約45kmのケーブル布設工事を無事完了し、実用に供されております。本プロジェクトの完遂により、製造管理、品質検査、製造布設なども含めた、直流送電システムとしての実用化を達成しました。
保守管理面や環境面に優れる長距離大容量送電に適した直流XLPEケーブルシステムを実用化できた意義は極めて大きく、今後は、洋上の大型ウィンドファームからの電力輸送や電力の地域間連系等の推進にも多大な貢献をもたらすものと期待されています。
文部科学大臣表彰・科学技術賞について
文部科学大臣表彰・科学技術賞は、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた人について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる人の意欲の向上を図り、我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的として設けられたものです。なかでも、開発部門は、我が国の社会経済、国民生活の発展向上等に寄与し、実際に利活用されている画期的な研究開発もしくは発明を行った人が対象とされています。
以上