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プレスリリース

高強度せん断補強筋スミフープ®(KSS785)損傷制御に対応した新設計式の性能証明を取得

製品・技術情報

2015年6月15日
住友電気工業株式会社

当社は、高強度せん断補強筋スミフープ®を用いた鉄筋コンクリート造の梁や柱に、損傷制御に対応した新しい許容せん断応力度設計式を適用できるとする建築技術性能証明を取得しました。

高強度せん断補強筋*1 スミフープ®は、普通鉄筋の約3倍の強度を有しています。共同住宅などの高層化、耐震化の要求に対し、普通鉄筋を使用した場合は、鉄筋が過密状態となるケースがありますが、本製品を使用することでそれを回避できます。本製品は降伏点*2 が785MPa級の強度を有するKSS785のブランドの一つとして、多くの建築構造物に採用され、施工現場での工期短縮や省力化を可能にしてきました。

日本国内では、共同住宅などの高層化、耐震化の要求に対し、せん断補強筋が多く使われています。当社は、せん断補強筋専用に成分設計した原料と、固有技術である熱間圧延直接熱処理プロセス(New-EDプロセス*3)により、降伏点が785MPa以上の高強度で、かつ溶接閉鎖型を可能とするせん断補強筋の実用化に国内で初めて成功し、1991年の旧建設省大臣認定を取得して以来、多くの実績を重ねてきました。

今回取得した建築技術性能証明は、2010年に制定された新RC規準*4 に基づき、日本建築総合試験所にて認定を受けたものです。損傷制御*5 に対応した新しい許容せん断応力度設計式を用いた場合、従来の設計式と比較して合理的な設計が可能となり、せん断補強筋の使用量の削減が可能なケースがあります。また、終局強度設計*6 において塑性理論式以外に実験式である荒川mean式も採用できるようになり、設計者の選択肢がさらに広がりました。今回の性能証明の取得により、設計者のより高度なニーズに応えるとともに現場でのさらなる省力化が期待できます。

なお、スミフープ®用の材料(六条リブ異形棒鋼)は住友電工伊丹製作所で製造、スミフープ®に必要な曲げや溶接などの加工及びスミフープ®製品の販売は、同社認定の加工メーカーが行っています。

高強度せん断補強筋スミフープ®(KSS785)

▲ 高強度せん断補強筋スミフープ®(KSS785)

*1 せん断補強筋:地震の揺れなどにより発生する建築部材内のせん断力により部材が破壊されないように部材を補強することを目的として配置された鉄筋。

*2 降伏点:材料を引っ張った場合、引っ張り荷重を増やしていくとそれに比例する形で歪み(伸び)が増えていくが、ある点を超えると引っ張り荷重が一定で歪みだけが増加するようになる、その変化点。

*3 New-EDプロセス:熱間圧延工程で、沸騰水を冷媒とし、線材の冷却速度をコントロールすることにより、金属組織の制御を行う製造プロセス。

*4 新RC規準:「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説2010」のこと。2010年に日本建築学会が改訂した計算規準。

*5 損傷制御:地震後の残留せん断ひび割れ幅が過大とならずに、損傷限界以下に制御すること。

*6 終局強度設計:震災等の大きな災害が発生した場合でも、建築構造物が破壊・崩壊しないようにするための強度設計。

以上

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