プレスリリース
排水処理用の大型膜モジュールを開発・販売
2015年9月 8日
住友電気工業株式会社
当社は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)中空糸膜
を用いた膜分離活性汚泥処理 (MBR:Membrane Bio-Reactor)用の大型モジュールを開発しました。膜を使った代表的な水処理方法である膜分離活性汚泥処理においては、微生物(活性汚泥)槽の中に膜を沈め吸引ろ過しますが、微生物自体による膜の汚れを防止するため、曝気(空気によるバブリング)して膜を振動させ、常時洗浄することが一般的です。しかし、この曝気には多くの電気エネルギーを必要とします。
当社が開発したPTFE中空糸膜は、高い柔軟性により膜が揺れやすく、その素材特性から膜が汚れにくくなっています。また、単一素材でできた中空糸膜としては、他素材膜対比8~10倍の強度があります。この柔軟性と強度を併せ持つことで、通常は最大2mである膜の長さを3mに長尺化し振幅を大きくすることにより、膜洗浄力も大幅に向上しました。一方、膜を高密度に配置することにより、膜モジュール1台あたりのろ過面積も、最大約60m²と大きくすることができました。
これらの結果、処理水あたりの曝気風量を下げ電気エネルギーを従来の2/3以下に低減するとともに、同一処理量あたりの設置面積も従来の約2/3にコンパクト化でき、水槽の建設費や配管部材などのイニシャルコストを低減できます。(日本下水道事業団の膜分離活性汚泥処理の1年間の研究で、曝気エネルギーも含めた1m3処理に必要なトータルのエネルギーを0.4kwh/m3以下(MBR普及促進の目標値)に抑えることを実証済みです)
当社は、世界の下水処理等の排水処理(膜分離活性汚泥処理)市場において、低コストで処理が可能な大型膜モジュールを市場投入していくことで、今後さらに水処理事業を強化していきます。これまで重点的に販売してきた韓国、台湾、中国に加え、北米や東南アジアなどにも拡販してまいります。
以上