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プレスリリース

Siemens AGとの連携協力に関する合意書締結およびインドでの高電圧直流送電システムの共同受注について

製品・技術情報

2017年3月27日
住友電気工業株式会社

当社はドイツSiemens Aktiengesellschaft (以下、Siemens AG)と共同で、高電圧直流送電の分野において、両社が連携して協力を行うための合意書(Cooperation Agreement)を締結し、3月21日に調印式を実施しました。
また、このたび両社によるコンソーシアムは、インド送電公社(Power Grid Corporation of India Limited)から、同国南部に建設する同国で初めて導入される高電圧直流ケーブルを含む高電圧直流送電(HVDC; High Voltage Direct Current)システムを受注いたしましたので併せてお知らせします。

1. 合意書の締結について

合意書締結の様子

合意書締結の様子

当社とSiemens AGは高電圧直流送電の分野において、両社が将来にわたって連携して協力を行うための合意書を締結しました。本合意により、Siemens AGのコンバーター技術と、当社の高電圧直流ケーブル技術といった両社の革新的な技術を統合することで、お客様に対しより最適なソリューションの提供が可能になります。

これまで高電圧直流ケーブルはOFまたはMIケーブル(油絶縁式)が主流でしたが、XLPE*1ケーブルは運転温度が高い点と環境保全性に優れている点から近年採用が加速しています。特に、洋上風力発電所を含む再生可能エネルギーや国家・地域間連系線の建設が活発化している欧州で需要が急増しており、今後アジア諸国でも国内・地域内連系で需要の増大が見込まれます。両社はこれらの電力連系線プロジェクトに対する協業も視野に連携をしていきます。

当社の常務執行役員・社会システム営業本部長 白山正樹は、今回の締結を受けて次のように述べています。「HVDC送電網システム市場の増大する需要に応える今回の革新的なパートナーシップを発表することが出来て非常にうれしく思います。この分野の先端技術を有するSiemens AGと当社の協業は、世界中におけるお客様に対し、最新のHVDC送電システムを提供するための両社の可能性をより高めることができるものと考えます。」

直流コンバーターの先端技術を持つSiemens AGと高電圧直流ケーブルのパイオニアである当社との協業により、先端技術、コスト低減での提案に留まらず、プロジェクトのリスク、メンテナンスを含む管理といった統合ソリューションを提供していきます。

2. インド南部連系送電線の建設案件の受注について

インド南部連系送電線の建設案件の受注について

両社のコンソーシアムがインドにて受注したプロジェクトは、同国南部のタミルナドゥ州プガルールとケララ州トリチュール間の交流直流変換所を含む連系送電線の建設案件です。送電線については、変換所間219㎞のうち架空線を除くケララ州内の32㎞区間での電力ケーブル(地中線)4本、計128㎞の敷設が契約範囲となります。両社の受注範囲は設計、調達、建設を含むEPC契約*2であり、プロジェクト総額は約600億円です。

当社は、日本で製造する±320kVの直流XLPE絶縁ケーブルを含むケーブルシステムの設計・製造、並びに工事・竣工試験を行い、試運転を経て2020年に引き渡す予定です。当社の直流XLPEケーブルは、固体絶縁が空間電荷を蓄積しやすいという問題を克服することで極性反転*3を含む過酷な運転に耐えるよう絶縁性能を向上させており、落雷が多いインド南部において架空線への接続がある本プロジェクトには最適なケーブルとなります。

インド南部連系送電線の建設案件の受注について

当社は、導体温度90℃で運転可能という特性を含め世界トップの性能を持つXLPE絶縁材料の開発に成功しています。北海道と本州を結ぶ既設の連系送電線に追加敷設され、2012年から直流250kV/300MWの送電を開始しており、また世界最高電圧である400kVの海底電力ケーブルシステムをイギリス~ベルギー間に現在建設中です。

インドでは、架空線とLCC方式*4の組合せによる直流送電は過去に複数事例がありますが、直流XLPEケーブル並びにVSC*5方式の交流直流変換所の導入は本件が初めてです。今回、当社とSiemens AG両社の高い技術力並びに協力体制が高く評価され、共同受注に至りました。

Siemens AGのTransmission Solution部門CEO、Mirko Düsel氏は以下のように述べています。「このプロジェクトにより、Siemensはインドでの直流送電技術の現地エンジニアリング能力を高めることにより、現地市場でのプレゼンスを拡大する事になります。また、住友電気工業とのパートナーシップによってインドの安定的な電力供給並びに経済開発に継続的に貢献できる事を喜ばしく思っています。」

今後も当社はSiemens AGと協力し、同国ならびに他地域でのプレゼンスを強化していきます。


*1 XLPE(Cross Linked Polyethylene):
架橋ポリエチレン

*2 EPC契約:
設計(engineering)、調達(procurement)、建設(construction)を含む、建設プロジェクトの建設工事請負契約。

*3 極性反転:
直流連系線の運用状況において、ケーブルに印加される電圧のプラスとマイナスの極性を入れ替える操作。

*4 LCC方式(Line Communicate Converter):
サイリスタ制御器を用いた相整流変換器による直流送電方式。送電方向を変える場合には、電圧の極性を反転させる。

*5 VSC (Voltage Sourced Converter):
自励式交流直流変換器。旧来型のLCC方式に比べて建設スペースが小さく、近年欧州を中心に採用が拡大している。

以上

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