プレスリリース
ケーブルテレビの多チャンネル放送設備を省スペース・省電力化する「IP-QAMエキサイタ」を発売
2017年8月23日
住友電気工業株式会社
当社は、株式会社メディアリンクスと共同で、多チャンネル放送素材受信装置とトランスモジュレータを一体構造とした装置「IP-QAMエキサイタ」を開発し、ケーブルテレビ局向けに発売しました。
ケーブルテレビ局では、2018年12月から開始される高度BS再放送(4K/8K)やケーブルテレビの放送サービスのオールIP化に対応するため、放送設備であるヘッドエンド*1の設置スペースと電源容量の確保が課題となっています。
ケーブルテレビの多チャンネル放送サービスは、プラットフォーム事業者*2からHOG*3形式で配信された放送素材信号をケーブルテレビ局内で受信し、放送用信号であるQAM*4に変換して送出します。そのため、これまでは受信装置と複数のトランスモジュレータ*5が必要でした。
「IP-QAMエキサイタ」は放送素材受信装置「MD8000シリーズ」にトランスモジュレータ機能を持つIP-QAMユニットを実装し、一体構造とすることで、省スペース化と省電力化を実現しました。最大200chの放送信号を送出する場合、これまでは受信装置とトランスモジュレータの設置に約3本のラックが必要でしたが、本製品は約1/2本分のスペースでの設置が可能です。消費電力は従来比75%の削減を実現するほか、本製品の新規導入により、既存設備の更新コストと比べ、システム構築費用の大幅な低減が見込めます。
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システム構成のイメージ
本製品は、今後開始される4K多チャンネル放送の運用仕様「高度ケーブル自主放送*7」への対応も検討しております。当社はこれからも、ケーブルテレビにおける放送サービスの高度化に貢献する製品・ソリューションの提供に努めてまいります。
製品の特長
- 放送素材受信装置とトランスモジュレータを一体化し、圧倒的な省スペース化を実現
- IP-QAMユニット「SQE1240」1枚で4chのQAMを出力
- IP-QAMユニットは1筐体に最大21枚実装可能
- ユニット故障時に自動で予備ユニットに切り替える「N+1バックアップ」に対応
- 自主放送用信号の挿入にも対応(C-CASスクランブル連携も可能)
*1 ヘッドエンド(Head End):
TV信号や自主放送番組等をケーブルテレビ用に変換し、混合分配して伝送路に送出する設備。また伝送路を通じて家庭用端末から送られてきた信号を選択受信する機能も有する。
*2 プラットフォーム事業者:
各番組供給事業者より番組の配信を受け、ケーブルテレビ事業者へ多チャンネル放送として番組供給を行う事業者。
*3 HOG(Headend On the Ground):
光ファイバーを利用して地上光回線により放送サービスを配信する形態。
*4 QAM(Quadrature Amplitude Modulation):
直交振幅変調方式。ケーブルテレビで用いられるデジタル変調方式。
*5 トランスモジュレータ:
MPEG2-TSをケーブルテレビ網への送出及びセットトップボックスで受信するため、番組情報(PSI/SI)の書換えとQAMへ変換(変調)する装置。
*6 TS:
MPEG2-TS(トランスポートストリーム)の略で、デジタル放送で採用されている伝送形式。
*7 高度ケーブル自主放送:
新しいスクランブルシステム「A-CAS」を採用したケーブルテレビにおける4K対応の多チャンネル放送。
以上