ホーム > 企業情報 > プレスリリース > 超硬コーティングドリル「マルチドリルMDM型」を開発・販売開...

プレスリリース

超硬コーティングドリル「マルチドリルMDM型」を開発・販売開始

製品・技術情報

2017年9月15日
住友電気工業株式会社

当社は、ステンレス鋼や難削材の穴あけ用超硬コーティングドリル「マルチドリルMDM型」を開発し、10月より販売を開始します。

マルチドリルMDM型

近年では、自動車の燃費改善に伴うエンジンの小型・過給器化*1が進んでいることに加え、航空機市場の拡大とともに、ステンレス鋼やチタン合金、耐熱合金などの難削材を使用した部品の穴あけ需要が高まっています。

これらの被削材の穴あけ加工では、刃先が高温となりやすく、刃先の摩耗増大や刃先に被削材成分が溶着しドリルが欠損するなど、工具寿命が短くなる傾向があります。

このような課題の解決に向けて、このたび当社は「マルチドリルMDM型」を開発しました。「マルチドリルMDM型」は流体解析をもとに、切れ刃側へ切削液を供給し、刃先を効果的に冷却する独自技術の「Bean Jet Cooling」を適用しました。また、設計の最適化と新開発のコーティングの採用により、低抵抗と良好な切りくずの排出性を実現しました。ステンレス鋼の穴あけ加工では、穴あけ加工後の穴内壁の加工硬化*2を低減します。これにより、従来品よりも長寿命・加工コストの低減に貢献します。

1. 特長
  1. 独自の油穴形状(豆形)により、刃先を効果的に冷却し、長寿命を実現
    当社独自の豆形の油穴形状は、従来の丸形状の油穴よりも断面積が大きく、切削液の吐出量が約2倍になりました。また、油穴に凹みを設けたことで、効果的に切削液を刃先側へ供給できます。この「Bean Jet Cooling」技術により、ドリルの冷却効果が高くなり、特に刃先が高温となりやすいステンレス鋼や難削材の穴あけ加工での工具の長寿命化を実現しました。

  2. 低抵抗で良好な切りくず排出を実現し、穴加工後の加工硬化も低減
    当社独自技術のRXシンニング*3を採用しており、広い切りくずポケット*4を備えています。これにより、穴あけ加工時の切削抵抗を従来比で約20%低減し、安定した加工が可能になりました。強円弧刃型を採用したことで、切りくずを細かく分断し、切りくずの詰まりによるドリル折損や、巻きつきによる加工機の停止も防ぎます。また、刃先と被削材の接触面積を低減すると共に、当社独自のコーティング技術「Absotech®」の採用により耐熱性・潤滑性が向上したことで、穴加工後の穴内壁の加工硬化を低減しました。

2. ラインアップ
MDM-H型(内部給油式)(計262型番)
適用加工深さ 3xDC(ドリル刃径)、5xDC(ドリル刃径) 2種類
工具径 Φ3.0~16.0mm 0.1mm飛び
3. 販売計画

初年度2億円/年 、3年後10億円/年

4. 価格
MDM-H型(内部給油式) 10,400~30,400円(税抜)

*1 過給器:
エンジンなどの内燃機関に強制的に圧縮した空気を送りこむことで、エンジンの出力を高める装置。

*2 加工硬化:
加工変形によって金属材料が硬くなることで、後工程で工具が欠損しやすくなる。

*3 RXシンニング:
通常は直線形状であるドリルのシンニングと呼ばれる中心部分を曲線形状にする技術。切りくずポケットが広く、切削抵抗が低減されるので、能率を上げてもドリルが破損しにくい。

*4 切りくずポケット:
切りくずがドリルに巻きついた際、切りくずを排出するために刃先部に設けられたスペース。

以上

ページの先頭へ