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プレスリリース

欧州向け±525kV 高圧直流ケーブルシステムを受注

製品・技術情報

2020年5月11日
住友電気工業株式会社

住友電気工業株式会社(本社:大阪市中央区、社長:井上 治、以下 当社)は、ドイツ送電事業社Amprion社(アンプリオン)から同国内を結ぶ高圧直流送電*1ケーブルシステムを受注いたしました。受注総額は約600億円、他の欧州諸国向けプロジェクトを含め2020年度に欧州向け直流送電ケーブル事業で約1,000億円規模の受注を見込みます。当社は再生可能エネルギーの利用促進、CO2削減に、最先端の高圧ケーブル技術で貢献してまいります。

今回のプロジェクトは、ドイツ北西部のエムデンとオスターアト間で建設が予定されている交流直流変換所を結ぶ、約300kmの地中送電線を建設するプロジェクトです。地中送電線は南端オスターアトの多端子交流・直流変換所にて架空送電線に直結され、ドイツ南部の電力需要地への大容量送電を行います。本プロジェクトにおいて当社は、地中送電線の設計、製造・輸送・布設工事、竣工試験、保守を担当します。受注総額は約600億円で、2023年に建設開始が予定されています。

ドイツでは、再生可能エネルギー普及政策の一環として北海の同国経済水域における洋上風力電源の開発が急速に進む一方、北海沿岸から南部の電力需要地への送電網の脆弱性が問題視されており、同国南北を結ぶ長距離・大容量の基幹送電網の構築が急務となっています。

本プロジェクトでは、当社が独自開発し長期試験に成功した、業界最高電圧クラスの±525kV直流XLPE(架橋ポリエチレン)絶縁ケーブル技術が採用されます。当社は2019年、直流XLPE絶縁ケーブルでは世界最高電圧となる英国・ベルギー間を結ぶ400kV直流XLPE絶縁ケーブルシステムを納入・竣工するなど、業界最先端の技術と実績を有しています。今回は、こうした当社の技術力と欧州におけるプロジェクト実績が高く評価され、ドイツの重要送電インフラ案件での採用が決定しました。

地中送電線布設工事のイメージ(左:日本国内、右:欧州)
地中送電線布設工事のイメージ(左:日本国内、右:欧州)

なおプロジェクトを進めるにあたり、当社はドイツ国内で豊富な実績を持つ高圧ケーブルメーカーSüdKabel社(スドカーベル)を現地パートナーとして選定し、同社との協業契約を締結いたしました。SüdKabel社は当社の絶縁技術を使用した高圧直流ケーブルの現地製造に加え、現地工事やプロジェクト管理における各種サポート業務を行う予定です。また、当社とSüdKabel社は極性反転*2を含む、型式試験をCIGRE*3推奨案に基づき完了済みです。

当社グループはドイツ国内に11拠点、3000名以上の従業員を雇用しておりますが、最先端の高圧ケーブル技術により高品質かつ安全、確実にプロジェクトを推進し、ドイツの重要なインフラ構築に向けて一丸となって取り組みます。

欧州における洋上風力電源開発、英国~欧州大陸間を中心とした大容量の国家間連系送電事業の活発化を受け、±525kV直流XLPE絶縁ケーブル技術は今回受注の陸上送電ケーブルに加え、今後海底送電ケーブルへの本格採用が見込まれます。当社は±525kV直流XLPE絶縁海底ケーブル技術の開発・実証試験も既に進めており、再生可能エネルギー開発によるCO2排出量削減に貢献すべく、早期商用化を進めてまいります。

■ ご参考

*1 高圧直流送電:
送電を高電圧の直流で行うシステムで、送電ロスが少なく、長距離・大容量送電に適しており、地域・国家間連系線や洋上風力発電所の建設の活発化とともに需要が増加しております。高電圧直流ケーブルは、油浸紙絶縁ケーブルが主流でしたが、近年では許容運転温度が高く、環境保全性に優れているXLPE(架橋ポリエチレン)絶縁ケーブルの採用が加速しております。

*2 極性反転:
直流連系線の運用状況において、ケーブルに印加される電圧のプラスとマイナスの極性を入れ替える操作。本件は自励式(VSC)変換機であり通常運転下では行われませんが、架空送電線への落雷時に変換機にて高速極性反転を行う運用が想定される為、型式試験にて極性反転への耐性も検証しております。

*3 CIGRE:
CIGRE(国際大電力システム会議)は、電力システムの専門知識の蓄積及び共有のために1921年にフランス パリで設立された国際団体であり、現在90ヵ国以上から世界有数の専門家を含む1250の団体会員により構成されます。

以上

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