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プレスリリース

世界初の地中送電線遠隔監視システムを開発

製品・技術情報

2020年8月17日
住友電気工業株式会社

住友電気工業株式会社(本社:大阪市中央区、社長:井上 治 以下、住友電工)は、東京電力パワーグリッド株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子 禎則 以下、東電PG)と既設の地中送電線のセンサネットワークが容易に構築できる遠隔監視システムを世界で初めて開発いたしました。

電力会社の地中送電線設備は、地下トンネルや地中に埋設した管路、マンホール内に布設されています。これら設備の保守点検は地下トンネルやマンホール内で作業員が行っており、その効率が課題となっておりました。また、電力の安定供給を目的としたIoTやAI等を用いる設備故障の早期検出や事前の予知診断等についても、使用するセンサ情報を収集する通信線布設等のインフラ構築に多大な費用がかかる問題がありました。

両社は、既設の66KV以上の地中送電線の遮蔽層と呼ばれる金属層を新たに伝送路として使用し(図1)、電力線通信(G3-PLC)*1を用いて、センサネットワークを容易に構築できる遠隔監視システム(図2)を開発・実証いたしました。このシステムでは、送電線路途中の送電線接続部において設けられているボンド線*2に小型の分割型CT*3を取り付けることで、既設の地中送電線の遮蔽層を伝送路とした電力線通信を可能としています。これにより、センサ情報をまず地上部まで伝送し、そこから携帯電話等の既存の通信手段を使ってデータ蓄積用のクラウドサーバーまで伝送できることから、新たな通信線を布設する必要もなく安価で信頼性の高いセンサネットワークが構築できます。こうした地中送電線の遮蔽層を伝送路として使用した世界初のシステムを住友電工が開発し、東電PGが実証、本年7月から東電PGが運用する地下トンネル内設備の温度監視に本システムが採用されています。

現在両社は、これまで保守用のセンサ情報取得が困難だったマンホール設備内情報*4の取得が可能なシステム(図3)を、2021年の実用化を目指して開発しています。今後もセンサ情報をもとにAIやIoT等を活用したDX導入によるシステム構築を通じて、人手不足や電力の安定供給の課題解決に寄与する送電線保守の高度化を進めてまいります。

*1 スマートメータの情報伝送に使用している低周波(約150~400kHz)を活用することで実現できた。

*2 遮蔽層と接地し、そのまま隣接区間と接続するため単線。

*3 CT:Current transformerの略。非接触で信号を遮蔽層に誘起する誘導結合方式。

*4 マンホール内の温度、電流、水位、映像など。

遮蔽層伝送の概要
図1.遮蔽層伝送の概要
スーパーフレックスケーブル
図2.洞道内温度監視システムの概要
マンホール設備遠隔監視システムの概要
図3.マンホール設備遠隔監視システムの概要

以上

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