プレスリリース
ミリ波帯において優れた伝送特性を発揮するフッ素樹脂FPC(FLUOROCUIT™)の量産化に成功
2020年9月 7日
住友電気工業株式会社
住友電気工業株式会社(本社:大阪市中央区、社長:井上 治、以下 当社)は、5G通信などで活用が期待されるミリ波帯において、低伝送損失で柔軟性の高いフッ素樹脂のフレキシブルプリント基板(FPC)"FLUOROCUIT™(フロロキット)"の量産化に成功しました。
5G移動体通信の商業利用が進む中、現在は世界各地でサブ6帯(3.5・4.7GHz等)といわれる周波数帯域の利用が始まっており、今後は使用帯域が26GHz帯、28GHz帯といったミリ波帯まで高周波化が進むことが見込まれています。さらに、ミリ波帯においてより高い周波数帯利用が本格化されることが予測されており、高速伝送化を実現するために、6G移動体通信の検討が既に始まっているほか、レーダーやセンサーのミリ波帯利用の実用化が進められています。
そのような背景の中、当社は「ミリ波帯において伝送損失が低い」「柔軟性を有する」フッ素樹脂フレキシブルプリント基板の量産化を実現しました。
高周波基板に用いられ始めた液晶ポリマー(LCP)に比べ、フッ素樹脂は、誘電率、誘電正接が低いという特性を有しているため、伝送損失がさらに抑えられます(40GHz帯で40%程度)。また、その特性は周波数が高くなればなるほど大きく発揮される傾向にあります。このような特長から、フッ素樹脂は、高周波帯において非常に優れた特性を有する基板材料として注目されています。
住友電工グループは、長きにわたりフッ素樹脂加工に取り組み、多彩な製品を開発してまいりました。その蓄積された知見や加工技術を生かすことで、このたび、これまで加工が難しいとされてきたフッ素樹脂フレキシブル基板の量産化を実現しました。
また、柔軟性に優れるというFPCの特徴はそのまま有しているため、曲面など柔軟性が必要な配線部分での利用に適しています。
これらの特性を活かし、データセンターでの配線、5G基地局や端末機器のアンテナや配線材、レーダー、センサーなどでの採用に向けた活動を本格化してまいります。
以上