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プレスリリース

モータの薄型・高性能化に貢献する「アキシャルギャップモータ用・圧粉磁心」量産開始

製品・技術情報

2020年9月16日
住友電気工業株式会社

住友電気工業株式会社(本社:大阪市中央区、社長:井上 治、以下、当社)は、モータの薄型・高性能化(高出力・高効率)に有利なアキシャルギャップモータ用の圧粉磁心を開発し、2020年8月より量産納入を開始しました。

近年では、モータの軽薄化・高性能化への要望の高まりから、一般的なモータ(ラジアルギャップモータ)の基本構造を革新的に変更して軽薄化を実現しつつ、出力密度を高めたアキシャルギャップモータ*1に注目が集まっております。このアキシャルギャップモータを実現するためには、その三次元磁気回路に適合した優れた磁心*2が必須となります。

当社は、独自の粉末冶金技術を活用して、高性能なアキシャルギャップモータを実現できる圧粉磁心を開発いたしました。さらには、圧粉磁心と銅巻線との耐絶縁を確保するための絶縁塗装技術も新たに開発し、アキシャルギャップモータに最適な絶縁塗装済みの圧粉磁心の量産納入を開始しました。

今後、当社はさらにアキシャルギャップモータ用圧粉磁心の市場展開を促進し、アキシャルギャップモータならびにそれらを用いた機器の高性能化や発展に貢献してまいります。

■「アキシャルギャップモータ用・圧粉磁心」の特長

圧粉磁心とは、軟磁性鉄粉を金型プレスで三次元形状に造形した磁心です。従来のラジアルギャップモータで使用する電磁鋼板と比べて形状自由度と実用上の高周波特性に優れる特長を有しており、自動車用途など様々な分野で実用化されております。

圧粉磁心をモータ用の磁心として用いる場合には、一般的には磁心と銅巻線との間に耐絶縁を確保するための部品を別途準備する必要があります。当社は独自の絶縁塗装処理技術により、圧粉磁心に銅巻線を直巻きすることで部品コストや組立コストの低減を可能にしました。さらに、巻線スペースも拡大できるため、モータの小型化や高効率化に貢献をいたします。

また、当社ではアキシャルギャップモータ用・圧粉磁心のメリットをお客様に実感いただくため、提供されたモータ仕様を元に、アキシャルギャップモータの三次元電磁界解析の支援をいたしております。

左:絶縁塗装処理した圧粉磁心、右:アキシャルギャップモータ用・圧粉磁心の例
(左)絶縁塗装処理したアキシャルギャップモータ用圧粉磁心(量産品)、
(右)アキシャルギャップモータ用圧粉磁心(社内開発品)

*1 アキシャルギャップモータ:
従来の一般的なラジアルギャップモータと比較して、薄型領域で出力密度と効率に優れるモータです。以下表の通り、従来のラジアルギャップモータと比較して、性能(トルク,最高効率)同等で軽薄化を達成しております。

ラジアルギャップモータ
(従来)
アキシャルギャップモータ
構造(模式図) SumiCloud™ SumiCloud™
全長(mm) 83.0 35.0(▲58%)
重量(kg) 3.2 1.6(▲50%)
トルク(N・m) 0.65 0.65(-)
最高効率(%) 90.6 90.9(△0.3%)
表. アキシャルギャップモータの当社電磁界解析結果

※本解析結果は一例であり、全てのラジアルギャップモータとアキシャルギャップモータとの関係を示している訳ではありません。

※全長,重量は筐体込みの解析値です。

※模式図は一部断面カットしたイメージ図です。実際の寸法,構造とは異なる場合があります。

*2 磁心
銅線を巻いたコイルの中に入れて磁気回路として用い磁力を増幅する部品で、鉄心やコアとも呼称される。

■ ご参考

以上

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