特集 2015年07月号(Vol.454)
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航空機機体
熱収縮チューブ Sumitube®
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Sumitube®は、電線・ハーネスの結束、耐熱保護、絶縁保護などの幅広い用途に使用される熱収縮チューブです。航空機分野では使用部位や環境に応じて高い耐熱性(最高200℃)や耐薬品性(航空機油など)が求められます。そのため、ポリオレフィン、フッ素系ポリマー・エラストマーなどを主原料として、電子線架橋により、さらに耐熱・耐薬品を高めたSumitube®は被覆対象となるワイヤーやコネクタなどの部品の保護用に使用されています。
識別用製品 SUMITAG® / SUMIMARK®
SUMITAG® / SUMIMARK®は、航空機や鉄道車両に使用されるケーブルの識別に使用する印字システムです。高い安全性が要求される航空機ハーネスでは構成ワイヤーごとに識別が必要であり、またその識別材料にはSumitube®同様に耐熱性や耐薬品性が求められます。当社で開発した識別用印字システムと熱収縮チューブは高い信頼性をもとに、航空機メーカに採用されています。
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
Sumitube® STS(Solder Termination Sleeves)
Sumitube® STSは電線接続用の部品の一つで、ワイヤー同士やワイヤーとコネクタなどを接続するとともに防水・機械的保護機能を有します。Sumitube® STSは優れた耐熱・耐寒性と品揃えの豊富さが認められ航空機ハーネス用接続部品として多くのお客さまから採用いただいています。
航空機用電線
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当社のワイヤーおよびケーブルは、航空機やヘリコプターの機内配線に幅広く使用されています。独自開発のフッ素樹脂絶縁と照射架橋技術によって、過酷な環境下でも高い耐久性と信頼性を誇り、大手航空機メーカにも採用されています。
レーダー・通信用装置
航空管制・気象レーダー・衛星通信用デバイス GaN HEMT
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GaN HEMTは、高出力、広帯域、低消費電力の特徴を持つ窒化ガリウム(GaN)の化合物半導体デバイスで、当社は世界に先駆けて製品化しています。L帯・S帯・X帯※の周波数で航空無線、航法システム、GPS、航空管制レーダー、高解像度の気象レーダーなどに幅広く採用され、キーデバイスとなっています。今後も最先端のデバイス製品群を提供し、航空機の安全運航に貢献していきます。
※マイクロ波の周波数帯域:L帯は航空管制レーダーや衛星電話、S帯は移動体向け衛星放送や各種レーダー、X帯は高解像度の気象レーダーや地球観測衛星の合成開口レーダー(SAR)などで利用されています。
機械加工
フライス加工用工具 SEC-ウェーブラジアスミルRSX型
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当社は、航空機の機体を製造する際に使用する切削工具も扱っています。航空機の機体に用いられるチタン合金を機械加工する場合、加工時の負荷の変動、工具への溶着※により工具刃先に異常な損傷が起こります。当社のRSX型カッタは、低抵抗・低振動を実現するボディと溶着しにくい刃先材料の組み合わせで、当社従来品比で抵抗を4割、振動を5割低減でき、異常な損傷の発生を抑制し、チタン合金加工工程の改善に貢献しています。
※加工用工具の刃先に加工対象物が付着する現象。
穴あけ加工用工具 スミダイヤ®コートドリルSDC型
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昨今、航空機の機体軽量化のために、CFRP※など従来のアルミニウム合金に替わる複合材料が多用されています。このCFRPの穴あけ加工には、刃先の摩耗が早期に進展しバリが発生しやすいという課題があります。当社のSDC型ドリルは、独自のダイヤモンドコーティングによる優れた切れ味と高い刃先強度と耐摩耗性により、バリの発生がない安定した穴あけ加工を実現します。
※鉄やアルミなどの金属材料よりも強度が高く、軽くて強い炭素繊維強化プラスチックのこと。Carbon Fiber Reinforced Plasticの略。