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トップメッセージ 2015年11月号(Vol.458)

社長 松本正義

ノーベル賞受賞に思う

先月、ノーベル賞の発表があり、昨年に続いての日本人研究者の受賞に日本中が沸きました。近年、自然科学系部門での日本人の受賞が増えておりますが、我が国の研究活動の底力が評価されていることは誠に喜ばしいことであります。

もっとも、自然科学系分野での受賞の多くは、かなり前の研究成果に対するものであります。 iPS細胞の開発から数年で受賞された山中伸弥教授は例外的であり、革新的な研究や理論が科学の進歩にどの程度影響を与えたのかを評価するには、それなりの時の経過を待たねばなりません。現在進行形である研究活動の将来価値を見定めるのは、とても難しいことです。

企業における研究開発も事情は似ています。研究者が苦心の末に見出した画期的な成果であっても、それがビジネスとして成立するかは別の話。研究開発の成功確率を高めるためのマネジメントは、製造業であればどこの会社でも頭を悩ませている重要課題であります。目先の変化に翻弄されて、背後にあるマーケットを見誤り、痛い思いをすることも珍しくありません。

住友の事業精神として伝えられているものの一つに、「遠大なる企画」という言葉があります。何事においても短慮に陥ることなく、将来を見据えて綿密に企画し、自分の代で成果が出なくともいずれは開花するよう努力を尽くせ、という意味です。めまぐるしく変化する現代にはそぐわないようにも聞こえますが、このような時代だからこそ、大きな夢を描き、その実現のための具体的な目標を設定し、周到に準備して一歩一歩着実に達成していく「遠大なる企画」の精神が求められるようにも思います。

社長 松本 正義


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