特集
PTFE製水処理用膜モジュール
水は、私たちの生活になくてはならない大切な資源です。一方、生活排水や産業排水などにより引き起こされる水質汚染は、世界中の人々の生活や、環境、その他あらゆる側面から、人類にとって最も大きな問題の一つとなっています。当社は、独自の素材を用いた水処理技術で世界の水環境・エネルギー問題を解決する製品を提供し、社会に貢献しています。今回は、当社の水処理用製品「ポアフロン®モジュール」を紹介します。
ポアフロン®モジュールとは?
ポアフロン®モジュールは、当社が2003年に発売を開始した精密ろ過用の水処理膜製品です。
当社が製造するフッ素樹脂の一種で高い耐薬品性、耐熱性を有する100%PTFE(※1)を使用した多孔質材料ポアフロン®でできています。
ポアフロン®モジュールは、そのポアフロン®の中空糸膜を数百本配列した装置です。
ポアフロン®の4つの特長
1.耐薬品性
強アルカリなど、さまざまな薬品に対して安定している。
2.高強度
切れにくく、長期間の使用が可能である。
3.高透水性
気孔率が高いため、汎用プラスチックとしては最高クラスの透水性がある。
4.耐熱性
膜ろ過として、200℃までの温度の液体に使用できる。
ポアフロン®モジュールの開発が始まった1999年当時、ポリエチレンが水処理膜の中心的な材料でしたが、強度や耐薬品性が不足していました。PTFEの高強度、高耐薬品性の特性が、こうした問題を解消できるのでは、と着目し、研究を重ねポアフロン®モジュールが誕生しました。ポアフロン®の4つの特長を活かした本製品は、都市下水、有機系産業用排水、高濃度非水溶性含油排水、高濁度排水など、さまざまな水処理に適用できます。特に、食品、染色、石油精製などの分野で採用され、国内のみならず、世界240カ所以上で活躍しています。
■世界240カ所以上で稼働中
- 稼働分野
- :
- ・食品 ・染色 ・製薬 ・ゴム加工 ・化学 ・鉄鋼 ・石油精製 ・半導体
・ゴミ浸出水 ・下水 など
ポアフロン®モジュール活用製品
ポアフロン®膜分離排水処理装置
ポアフロン®モジュールに、膜浸漬槽、ポンプ、散気ブロア、制御盤をパッケージ化しました。お客さまにて使用中の曝気槽(ばっきそう)(※2)に接続することで、再利用可能な処理水が得られる排水処理設備が、短期間に低コストで実現できます。24時間遠隔監視、定期点検、膜の洗浄・交換などのアフターサービスも提供しています。
ポアフロン®モジュールの活用事例
石油精製工場の排水処理(台湾、米国など)
ポアフロン®は、油分や有機物の汚物を含んでいても目詰まりしにくく、汚れても、強い酸やアルカリなどの薬品で洗浄可能です。この長期にわたる使用耐久性・性能安定性が評価され、石油精製工場の排水処理に導入されています。既に台湾で稼働しており、2017年には米国でも稼働予定です。
油田随伴水処理システム
原油採掘に伴って出てくる地層水(随伴水)には、油や濁質が含まれており、放流および地下への再注入、再利用のため浄化が求められます。この油田随伴水処理も、当社のポアフロン®モジュールの優位性が発揮できる分野です。実用化に向けて、さまざまなテストをおこなっています。