特集
住友電工を含む14社*1は、経済産業省資源エネルギー庁の補助事業である「バーチャルパワープラント構築実証事業」を開始しました。本実証事業は、電力自由化や電力システム改革が進む中、社会全体として効率的なエネルギー利用に資するエネルギーインフラの基盤構築に向けて、従来にない新たなエネルギーマネジメントの実現を目指すものです。
バーチャルパワープラントって何?
バーチャルパワープラントは、電力系統に点在する需要家の機器(以下、リソース)をIoT(モノのインターネット)化*2することで、アグリゲーターが点在するリソースを遠隔で監視、一括制御し、需要の抑制または創出できるようにします。従来は火力発電所の稼働・停止など、電力の需給調整は「供給側」でおこなってきました。バーチャルパワープラントでは、晴天時に太陽光の出力が増えるなど、電気が余る場合は、需要家設備の蓄電池を充電することで需要を創出し、逆に、供給不足の場合は、蓄電池から放電をおこなうなど、「需要家側」で需給調整をおこない、あたかも1つの発電所(仮想発電所)のように機能させる仕組みの構築を目指します。
これにより、電力系統における需給調整力が増強され、再生可能エネルギー電源のさらなる導入も可能となります。
本実証事業における当社の役割は?
1.家庭用リソースのアグリゲートシステムの構築・実証
家庭に設置されたヒートポンプ給湯器や電気自動車・プラグインハイブリッド自動車用充電設備を束ね、それら設備を遠隔で一括制御し、需要の抑制や創出をおこなうことができるアグリゲートシステムの構築と実証をおこないます。
当社が構築するアグリゲートシステムは、統合サーバーからの指令*3に基づき、各リソースへの制御量を配分します。なお、本システムでは、将来のリソースの量的拡大を見据え、標準的な通信プロトコル*4に準拠した通信規格を採用しています。
2.業務産業用リソース 自社施設でのエネルギーマネジメントシステム(EMS)実証
当社の製作所や当社グループの工場などを束ね、それらに設置されているレドックスフロー電池などの大型蓄電池や自家発電機を中心に、遠隔で一括制御し、需要の抑制や創出をおこなうことができるシステムの構築と実証をおこないます。
エネルギーマネジメントシステム(EMS)とは……
レドックスフロー電池、エンジン発電機やタービン発電機などの自家発電機、オフィス・工場の電力フローを遠隔監視・制御する役割を担います。
バーチャルパワープラント構築実証事業の概要
実施場所
関西エリアを中心とした企業内設備および需要家設備
実施期間
2016年7月21日(交付決定日)~2017年2月28日
バーチャルパワープラントで提供するサービス
アグリゲーターは、以下のようなサービスの提供を検討していきます。
【サービス内容の例】
- ●小売事業者に対しては、計画外に必要となった電力を、アグリゲーターが電力の需要を調整し、電力の供給などをおこなう。
- ●系統運用者に対しては、需要の創出や供給力の提供により、需給のバランス調整をおこなう。
- ●再生可能エネルギー発電事業者に対しては、アグリゲーターが需要の創出をおこなうことで、発電抑制を回避する。
- ●需要家・コミュニティに対しては、エネルギーコストの低減や再生可能エネルギーの自家消費の促進などをおこなう。
本実証事業で検証する制御対象リソース
家庭用機器として、HEMS(住宅エネルギー管理システム)、空調設備、給湯器、電気自動車・プラグインハイブリッド自動車、蓄電池、太陽光発電システムを制御します。業務用・産業用の機器では、BEMS(ビルエネルギー管理システム)、FEMS(工場エネルギー管理システム)、社用車、大型の蓄電池が制御する対象リソースとなっています。
当社が担当している制御対象リソース
- 家庭用
- :
- 家庭用ヒートポンプ給湯器
電気自動車・プラグインハイブリッド自動車
- 業務産業用
- :
- BEMS(ビルエネルギー管理システム)
FEMS(工場エネルギー管理システム)
大型蓄電池