優れた機構部品材料
「テラリンク®S」
住友電工ファインポリマー(株)のコア技術となる、電子線を照射することで物質の特性を向上させる技術を活かし、疲労強度を向上させたエンジニアリングプラスチック部品テラリンク®Sをご紹介します。
- 発売開始 2014年6月
- WEBサイトはこちら
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テラリンク®Sってなに?
テラリンク®Sは、産業機械向けの部品や、電動アシスト自転車のギアなどに採用されているエンジニアリングプラスチック部品です。射出成形(※1)品に電子線を照射し、ポリマーを架橋(※2)させることで、摩耗量を抑え、疲労強度を向上させました。もともと金属で設計されていたギアの代わりに、疲労強度を向上させたテラリンク®Sの採用によりコストダウンと軽量化をはかることができたとの評価もいただいております。
- ※1
- 射出成形:金型に溶融したプラスチックを流し込み、冷却固化して製品を得る加工方法
- ※2
- 架橋:ポリマーの分子構造に橋架けを導入し、改質する技術
テラリンク®Sの特長は?
本製品の特長は、優れた耐摩耗性と疲労強度にあります。下図は、プラスチックギアとして使用実績が豊富な「ナイロン66」、「POM(※3)」、「テラリンク®」それぞれからできたギアの耐久試験の結果を示しており、テラリンク®Sは、ナイロン66やPOMに対し、疲労強度の指標である歯面荷重を3倍以上に高くしても、歯が摩耗したり、重量が減りません。このような特長から、同じ強度のギアでもテラリンク®Sのギアはコンパクトで、省スペース化をはかることができるため、産業機械分野のお客さまから大きな期待を寄せられています。

- ※3
- POM:ポリアセタールの略称、プラスチックギアで最も使用量が多い
光部品事業推進部 テラリンク課
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開発のきっかけは何ですか?
照射架橋技術で、プラスチックの耐熱性が向上することは有名で、当社はもともとギア用ではなく耐熱部品として「テラリンク®」を製造販売していました。そしてある日、お客さまから、テラリンク®をギアに使えないかという相談を受け、サンプルを作ってみたことがきっかけです。
実際のサンプルを見て、お客さまからは驚くほどの高い評価をいただきました。
サンプルを作った時点ではなぜテラリンク®がギアに適するのか理由がわかりませんでした。あらゆるプラスチックのカタログにあるような物性値を取得してみましたが、明確な効果が得られなかったため、偶然かとあきらめることもありました。ギアにとって重要な物性は何かと改めて自問自答し、弱い力を繰り返し与え続けて求める「疲労強度」を測定したところ、大きな効果が得られていることを発見しました。改めてギアの模型を作製し、耐久試験を行ったところ、照射架橋により3倍の力でも壊れないギアが得られることを確認しました。そこで「テラリンク®S」として製造・販売を行うことになりました。