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ウィンドプロファイラレーダーって何?
ウィンドプロファイラレーダー(Wind Profiler Radar 以下、WPR)は、上空の風向・風速を観測する気象観測装置です。WPRから上空に向けて発射された電波は、大気乱流に伴う屈折率の揺らぎにより散乱します。再びWPRに戻ってきた電波を信号処理することで上空の風向・風速を算出します。当社のWPRは、気象庁が運用するWINDAS※に2014年3月から採用されており、北は北海道から南は沖縄の離島まで全国31カ所に設置されています。WPRから得られた観測データは、天気予報のもとになる大気の状態を予測する数値予報のデータに使用されており、天気予報の精度向上に貢献しています。
※WInd profiler Network and Data Acquisition System:局地的気象監視システム。
当社のウィンドプロファイラレーダーの特長は?
当社のWPRはルネベルグレンズと呼ばれる電波レンズをアンテナ部に採用したユニークな構造をしております。ルネベルグレンズは比誘電率が少しずつ異なる層を重ねた球状のレンズであり、入射した電波を焦点に集めることができます。これは当社が保有する高度な材料技術がベースとなっています。このルネベルグレンズを搭載したアンテナ装置の台数を調整することで、お客さまが求める観測高度に対応できるようになりました。

電波製品グループ

開発する上で難しかったことは何ですか?
気象庁のWINDASは2001年から運用を開始していますが、このたび新技術による高機能のWPRの導入が求められ、老朽化した観測機器の更新時期に合わせて、当社のWPRが採用されました。WINDASは、約10カ月で、31台を製造することとなっており、当社がこれまでに経験がないほどの短い期間で製品を納める必要がありました。システム設置をおこなう住友電設(株)と検査や出荷・輸送のスケジュールを綿密に打ち合わせし、当社メンバーを中心に、SHC(株)や住友電工システムソリューション(株)、住友電工デバイス・イノベーション(株)など当社グループ会社で協力し合い、このタイトなプロジェクトを完遂しました。それぞれのエキスパートを結集し、住友電工グループの総合力を発揮することができたプロジェクトとなりました。
当社の製品が使用されているWINDASのデータはどのように活用されていますか?
WINDASは、現在24時間休むことなく観測を続けており、主に気象予測のための観測データを提供しています。このデータは、気象庁のホームページからご覧いただけ、さまざまな分野で活用されています。皆さまもぜひ一度気象庁のホームページにアクセスしてみてください。