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トップメッセージ 2016年05月号(Vol.464)

社長 松本正義

うるさい上司

このところ、五輪やプロ野球での活躍を期待されていた若いスポーツ選手の不祥事が相次いで報じられました。社会人としての自覚が不足していたことは責められて然るべきですが、とはいえ彼らが支払った代償はあまりに大きく、周りが何とか止めてやれなかったのか、という思いも致します。私たちは、若い人たちに、何をどのように伝えてきたのか。コミュニケーションのやり方を自省しなければなりません。

振り返りますと、若い頃は、職場の先輩から、仕事の進め方からプライベートなことまで、事あるごとに口うるさく言われたものです。そのような指導を鬱陶しく感じ、反発したこともありましたが、今思うとそうやって教えてもらったことが、社会人としての血肉になっています。

「コミュニケーション」という言葉の成り立ちを遡りますと、ラテン語の「communis」という言葉にたどりつきます。「communis」は「共同の、共有の」「ともに義務を果たす」「贈り物を交換する」といった意味だそうで、コモンやコミュニティといった言葉の語源とも考えられています。すなわち、「コミュニケーション」は、単なる「連絡・伝達」ではなく、メッセージの送り手と受け手との間で「何かを共有する」ところに、その本質があると言えるでしょう。

しかし、メッセージの受け手は、最初から送り手の意図を理解し共感しているわけではありません。とりわけ、職業倫理、遵法意識、仕事のやり方といったことを理解させ肚落ちさせるのは、当たり前のことなのに存外難しいものです。次の世代に理解してもらいたいこと、受け継いでもらいたいことは、たとえ「うるさい上司」と思われようとも、熱意をもって繰り返し伝えなければならない―――  一連の報道に接し、ますますその意を強くしました。

社長 松本 正義


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